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映画 『 ザッツ・エンタテインメント 』 〜午前十時の映画祭 Series2

ザッツ・エンタテインメント MGMミュージカル200作品から75作品の名場面だけを厳選、フランク・シナトラ、ジーン・ケリー、ミッキー・ルーニー、フレッド・アステア、ビング・クロスビー、エリザベス・テイラー、ジェームズ・スチュアートら11人の大スターのナレーションによって、総勢125人の至芸が紹介されていく。

 さて、震災での上映延期などアクシデントに見舞われて、去年の夏以来途切れてしまった感のある『午前十時の映画祭』。
実はまだ100本完遂の意志は折れていない。
少なくともスケジュール的には完遂の余地は残している。
みゆき座で夜の上映もあるので、しばらくは日比谷に足を延ばすことになるだろう。
その日比谷について4/24付けの「日めくり」で以下のことを書いているので引用してみる。

   もう考えるのも億劫なくらい、本当に久々に日比谷の映画街で映画を観た。
   少なくとも仕事帰りに日比谷に寄るなど二十数年ぶりのことではあるまいか。
   『ザッツ・エンタティメント』は往年のMGMミュージカルを蘇らせるのだが、
   この映画そのものも公開されて、そろそろ40年近くが過ぎる。
   フレッド・アステアとエレノア・パウエルのタップシーンは今見ても十分に凄く、
   そしてジーン・ケリー、ジュディ・ガーランド、フランク・シナトラが躍動する。
   彼らのリアルタイムを日比谷の街は当然知っていると思うのだが、
   有楽座もスカラ座もみゆき座も名前だけを残し、
   すっかりと様変わりしてしまった。
   彼らのリアルタイムを日比谷の街は当然知っていると思うのだが、
   何故、久々に訪れる街は昔の面影を留めてくれていないのだろう。

 『ザッツ・エンタティメント』は松竹系のピカデリーでの封切りだったので、
この東宝王国ともいうべき日比谷では上映されなかったのだろうが、
MGM全盛の時代はどうだったのだろう。
少なくとも今も昔も日比谷は東京宝塚劇場、日生劇場も擁するショービジネスの中心地であることには間違いなく、ここで『ザッツ・エンタティメント』を観ることにはある種の感慨がある。
もちろん、かつて独立していた超大作の有楽座、文芸作品のスカラ座、女性映画のみゆき座がシネコン化してしまった「時代」というものを噛みしめてのことなのだが・・・。

 このアンソロジー映画が製作されたのが1974年で、日本公開は1975年。
封切られたときの反響はよく憶えている。
とくに『雨に唄えば』のジーン・ケリーや『水着の女王』のエスター・ウィリアムスの演技は繰り返しTVスポットで放映されて、「うわ、すごいな」とは思っていた。
結局、未見のままになってしまったのは、最大の見せ場をスポットで観てしまったことで、すでに観たような気になってしまったことと、MGMミュージカルへの回顧への興味がまだ中学生では熟成に至っていなかったということだろう。
結局、『雨に唄えば』 『イースター☆パレード』 『バンドワゴン』 『踊る海賊』をリバイバルで観たのは成人になってからで、今更、こんな話をしても仕方ないのだが、中学生の分際でもあの当時に観ておけば良かったと思っている。 

 冒頭から、様々なシーンで歌い継がれてきた“Singin' in the Rain”が紹介され、1929年の『ブロードウェイ・メロディ』がMGMミュージカルの幕を開ける。
改めて『雨に唄えば』という映画を作ったジーン・ケリーの熱い思いには感動してしまうのだが、1936年製作の『巨星ジークフィールド』の信じられないような豪華なセットを見ると、改めてハリウッドの、いやアメリカの国力に打ちのめされてしまう。
ありきたりな言い方だが、アメリカを相手に戦争を仕掛けた(仕掛けられた?)我が国の政治家、軍部が途方もない暴挙だったのだ。
 そして “タップの女王” エレノア・パウエルがアクロバチックなダンスを披露する『ロザリー』を見せておいて、彼女がフレッド・アステアとコラボする 『踊るニューヨーク』へと繋げる編集の巧みさ。
エレノアとアステアのタップダンスの場面を観ていると、中学の時に『雨に唄えば』と『水着の女王』が最大の見せ場などと決めつけていたことが、今さらながら恥ずかしくなってしまうではないか。

 MGMの全盛を語るナビゲーターとして登場する老境のスターたち。
フランク・シナトラ、ジーン・ケリー、ミッキー・ルーニー、フレッド・アステア、ビング・クロスビー、エリザベス・テイラー、ジェームズ・スチュアート、ドナルド・オコナー・・・。
彼らは故人となっていたクラーク・ゲーブル、ジュディ・ガーランドたちを語っていくのだが、その背景には朽ちかけて今にも取り壊されつつあるスタジオがあり、次々と紹介される煌びやかなフィルモ・グラフィとのギャップはそれだけで栄枯盛衰の感慨を誘う。
彼らが、1974年現在から1930年代〜1950年代にかけてのMGMの栄光を語りながら、過ぎ去りし金字塔を懐かしむ以上に、『ザッツ・エンタティメント』の製作から時間は流れ、想い出を語るスターたちもライザ・ミネリを除く殆どが既にこの世を去っている。
そして『ザッツ・エンタティメント』を郷愁を以って喝采の拍手で迎えたであろう観客の多くも、鬼籍に入ったことだろう。

 そう思うとこの映画は人生そのものではないかという気がしてくる。



2012.4.24 TOHOシネマズみゆき座



author:ZAto, category:映画, 23:59
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