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映画 『 ニューイヤーズ・イブ 』
 
 一昨年から「午前十時の映画祭」に足しげく通った甲斐あって、鑑賞マイレージが6000ポイントを超えたので一ヶ月間有効のパスポートと交換した。
これで晴れてTOHOシネマズのチェーン館での上映作品は1月30日まで見放題。
と思いきや、結局は年末年始の休みには一本も映画を観ることはなかった。
これは私にとってはかなり異常事態だ。何せタダで映画が見放題なのに・・・。
別に忙しかったわけではないし、家にこもりたかったわけでもない。
期待しなかった映画ほど面白かったときの喜びを他の誰よりも知っているつもりだし、観る前からつまらない映画など世の中にはないのだということもわかっている。
しかし、いざ出掛けようと思っても一向に足が映画館へと向かない。
一体、どうしたらいいのだろうかと内心ではかなり焦っていたのだ。

ニューイヤー・イブ

いくらなんでもこの三連休で一本も観ないわけにはいかない。三谷幸喜の監督作品が昨秋からロングランとなっているので、それにしようとようやく重い腰を上げたのだが、今度はカウンターでまごついてしまっているうちに上映が始まってしまう。
仕方なく開映時間が近かった『ニューイヤーズ・イブ』とカウンターに告げて入場券と交換した。
だからこの映画についての予備知識はゼロ。キャストも監督も知らないままに座席に着いたという次第だった。

 結果的にはその予備知識ゼロというのが幸いしてかなり楽しめた。
オープニングにスタッフ&キャストのクレジットが出て来ない趣向は、賑やかな顔ぶれが画面に出て来るたびに「おおっ」と笑いを誘われる。
ヒラリー・スワンク、ミシェル・ファイファー、ハル・ベリー、ロバート・デ・ニーロ、ジョン・ヴォン・ジョビ、サラ・ジェシカ・パーカーなど出るわ出るわでかなり贅沢な気分にさせられる。

 監督はゲイリー・マーシャル。もちろん『プリティ・ウーマン』が代表作だが、私は学生時代にこの監督のデビュー作『病院狂時代』というB級コメディを観ている。
あれは新宿で飲んでいて終電がなくなり、歌舞伎町の映画館で始発まで過ごしたときに上映されていた映画だった。
30年のスパンでこの監督の映画はわりといい加減な気分で観てしまったようだが、肩の力を抜いてリラックスして観るのにはもってこいの映画を撮る人のようだ。

 2010年の大晦日のニューヨーク。ニューイヤーのカウントダウンイベントのため、タイムズスクエアに集まる人々。
一年前に出会った女性が忘れられない男。高校生の死期が迫った老人と看護師の交流。エレベーターの故障で二人きりで閉じ込められた若い男女。偶然再会した元カップルなど8組の男女の姿を描く群像劇となっている。
こういう群像劇はロバート・アルトマンやクエンティン・タランティーノの諸作を取りあげるまでもなく、伝統的なグランドホテル形式のシチュエーションドラマはハリウッドのお家芸ではあるし、今や海外ドラマなどでもすっかりお馴染みの手法ではある。
複数の人間のそれぞれが背負うエピソードをザッピングのように見せて、次第にパズルのピースを合わせていく。最後にどれだけ綺麗に完成させていくのかがキモとなる。
最後の着地点がカウントダウンに湧くタイムズスクエアという絵に描いたような舞台であり、これだけの芸達者が揃っているのだから、それ相応の出来になることは約束されていたのかもしれない。

 しかし敢えて難癖をつけるとすれば、8つのエピソードを同じ方向に向けて走らせるのだから、どうしてもひとつひとつのエピソードは薄味にならざるを得ないこと。
エレベーターに閉じ込められたカップルの話など、ハプニングはハプニングとして、突然、恋愛感情が高まっていくようなアイディアが欲しかったし、女料理人に復縁をせまるロックスターの話も結局、なんだ二度もビンタされるヴォン・ジョビを見せたかっただけかいなとなる。
だからヒラリー・スワンクに感動的な演説をさせ、ハル・ベリーが戦地に赴任している恋人とスカイプで束の間の逢瀬をさせるなど「泣き」のスパイスを効かせたのではないかと思う。
もちろんそこはオスカー女優たちの貫録と、ここにデ・ニーロが加わったスリーショットは豪華そのもの。空気が一気に支配された瞬間があって、そこは贅沢だった。もしかしたらゲイリー・マーシャルもそれを狙っていたのかもしれない。



2012.1.9 TOHOシネマズららぽーと横浜


author:ZAto, category:映画, 02:48
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