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映画 『 ツレがうつになりまして。 』

 無料観賞ポイントがたまっていたので早く消化しないと、と仕事帰りに映画館へ。
食わず嫌いはよくないのだが、観たい映画がないのは本当に困る。
気を引いたのが三池崇史の最新作『一命』。
小林正樹の名作『切腹』のリメイクということで面白いかもしれない。
ところが3D上映だと。・・・あほくさ。

ツレがうつになりまして。.jpg ならば『篤姫』で息の合った将軍夫婦ぶりを見せたコンビの共演作なら外さないかと 『ツレがうつになりまして。』という映画を選ぶ。
冒頭で波がザブンの三角マークに「これ、東映かいな?」と思わずズッコケる。
こんな具合にまったく予備知識なし、うつにかかるのが宮崎あおいなのか堺雅人なのかも知らなかった。

 最近の傾向なのだろうか。昔は劇場映画のスピード感と比べてテレビドラマののろさに僻々させられていたものだったが、今はテレビドラマの展開の早さについていけない。
むしろ映画の方がじっくり、ゆっくりと物語が進行する作品が増えてきたのではないか。
常日頃から「映画は所詮セックスと暴力」などと暴言を吐きながらも、寄る年波もあって嗜好が変わりつつある。
佐々部清監督 『ツレがうつになりまして。』はそんな嗜好にはもってこいのリズムで、夫がうつ病となった結婚五年目の夫婦の日常が綴られていく。

 夫婦の愛情物語のキャスティングとして宮崎=堺は申し分なかった。
とくにうつにかかったツレに対して「がんばらなくていいんだよ」といいながら、自分は人生を頑張らなければならなくなったハルの「天真爛漫な覚悟」を宮崎あおいはよく表現していた。
堺雅人も深刻な状況を持ち前のとぼけたユーモアで作品に柔らか味をもたらしている。“イグ”のように寝癖で髪が逆立ち、“チビ”のように布団に丸まる姿も可笑しいし、泣きべそをかいている場面も陰々滅々にならないところがいい。
ただ先に藤原紀香と原田泰造のコンビでテレビドラマ化されたそうだが、紀香はともかく泰造のツレも観たかったような気がする。

 確かに原作のコミックエッセイでのキャラやイグやチビの存在がオブラートをかけているが、現実には相当に重い題材ではある。
もともと神経質だったツレは、細かいことに無頓着なハルと衝突し、激しく落ち込んで浴室で首をタオルに巻きつけてパニックを起こす。
ハルの地元の理髪店での “次男坊” が自殺するエピソードも含めて、それなりに厳しい場面も少なくない。
この夫婦が良かったのはうつという病気を早くから明るい妻が受け入れたことだろう。
やや残念だったのは、展開が「こうして私たち夫婦はうつを克服してきました」的な流れに傾いてしまったことか。

 うつが珍しい病気なのかそうでもないのかは知らない。
しかし本人の苦しみに対して、他人にはなかなか理解を得られないだろうことだけは想像がつく。
この映画でいえば「がんばれ」「気合いをいれろ」と叱咤激励してしまうツレの兄のように、世間の無理解は根深く、うつ病患者は常にそういった無理解に晒される運命にあるのだろうと思う。

 それでも個人的には最後まで夫婦のラブストーリーとして完結してほしかった。
天真爛漫でのんびり屋だったのだけど、あくせく働かなければならなくなった妻がいて、
あくせく働きすぎて病気になってしまって、子供みたいに駄々をこねるツレがいる。
それを見つめるように(あるいはまったく無関心のように)ペットのイグアナがいる空間。
だから居心地のよい空間から飛び出て、ツレに講演会の壇上に立たせるなどなんて無粋なのだろうと思えてしまう。
その講演会にかつての職場の上司が現れ、かつてのクレーマーの声を聞く。クレーマーは元上司が連れてきたのだろうか?ツレがうつから立ち直り、外へ向かって自立していく姿を描きたかったのだろうが、どちらにしても作りすぎではなかったか。
そもそもツレは教会でも人前でスピーチをやっているのだから、重複も気になるところだ。
読んでいないが、おそらくうつ病への理解を世間に認知させることも原作出版の動機になっていたのだろうとは思う。
もちろんこの映画を選んで観賞したことについては一切の後悔はないのだけど。



2011.10.19 109シネマズグランベリーモール


author:ZAto, category:映画, 14:32
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