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映画 『 ツリー・オブ・ライフ 』

 「生き方にはふたつある。世俗に生きるか、神に委ねるか」。
母親の独白からこの映画は始まる。

ツリー・オブ・ライフ

 音楽家の夢を絶たれ、発明の特許申請に執心するなど世俗に生きるしかなかった父親は、三人の男の子たちを厳しく育てようとする。
そんな父親と、慈愛に満ちた母親との間で反抗期を迎えた長男の心は揺れ動くのだが、常に衝動に満ち、観るものを不安にさせていくあたりの演出力は半端ではない。
父親役のブラッド・ピットは家族の中で強権を発動する父親を厳格に演じながら、俗物であることの卑小さを表現し、母親のジェシカ・チャステインは日常生活の疲れを垣間見せながらも、男の子たちにとって永遠の女神であることを見事に演じていた。

 それにしても相変わらずテレンス・マリックの映画は難しい。
何せガダルカナルの戦場で『楢山節考』的な世界観を描出した監督であるので、父と子の葛藤の物語には違いないものの、止めどもなく溢れていくイマジネーションの洪水が、私には映像の暴走に思えてしまう。
「理屈」ではなく「感性」で観るべきなのかもしれないが、根っこの部分で天地創造や人類創生といったキリスト教史観のアンテナを持っていないとお手上げのような気もする。
マリックは家族の絆と相克こそ天地創造以来の普遍なものと捉え、自然の摂理や営みをこれでもかと見せつけ(つまりはかなり長い時間)、最後に大人になったジャックに救済が訪れるという壮大な叙事詩に仕上げて見せたのだと思う。
それでいて何故、次男が突然死んでしまったのか、大人になったジャックが過去を辿ろうとした動機はなんだったのか、決して説明の多い映画ではない。
カンヌでパルムドールを受賞したと聞くと、なるほどそうなのかなとも思うものの、
「この映画を頭で理解しようとせず、映像のイマジネーションを受け止めよ」と、とても堂々と書く気にはなれない。

 今はショーン・ペンの物憂いな表情と、
「モルダウ」「シチリアーナ」の旋律が耳に残っている状態だ。



2011.8.26 109シネマズグランベリーモール



author:ZAto, category:映画, 23:59
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