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映画 『 荒野の七人 』 〜午前十時の映画祭 Series2

荒野の七人.jpg メキシコの寒村で暮らす村人たちは、毎年収穫の時期になると現れては掠奪を繰り返す野盗に悩まされていた。困り果てた彼らはは野盗と戦うことを決意し、村の仲間とともに銃を買うためにアメリカへと向かう。そこで凄腕のガンマン、クリスとヴィンをはじめとする7人の凄腕を雇い入れることに成功する。

 この映画祭全体で最も回数を観た映画かもしれない。
しかし調べてみると劇場は未見だったことに驚く。てっきり池袋の文芸座あたりで観ているものだと思っていた。
『荒野の七人』が初めてテレビで放映されたのは中学生の時。増田貴光の解説によるNET「土曜ロードショー」の枠で二週に渡ってノーカット放送されたことを憶えている。

 私が中学の時はスティーブ・マックイーンもチャールズ・ブロンソンもジェームズ・コバーンもすでに大スターであり、とくに黒澤明のオリジナル云々は抜きに、純粋に彼らのヒーロー振りを楽しんでいた。
おそらく我々の世代だと『荒野の七人』は『七人の侍』よりも監督ジョン・スタージェス、音楽エルマー・バースタインのコンビということで『大脱走』と並列で捉えていたはずだ。
とにかくマックイーン、ブロンソン、コバーンがかっこよかった。コバーンの死にっぷりなど何度真似したことだろう。

 ところが今回初めて知って驚いたのが、『荒野の七人』の初号ポスターにはメインのユル・ブリンナーはともかくとしても、次にクレジットされているのがイーライ・ウォラックであり、続いてマックイーンとホルスト・ブッホルツが同格で並んでいたこと。
もちろん、ブロンソンもコバーンもこの映画の頃はまだまだ燻っていることは知っていたが、彼らがイーライ・ウォラックとホルスト・ブッホルツよりも格下扱いだったのが意外だった。
因みにポスターの話でいえば、この映画がリバイバルを重ねるごとにブリンナーの存在が小さくなって、メインスターがマックイーンとなり、挙句の果てにはブロンソンに口髭が書きくわえられていったのは有名な話。
今日、バースタイの有名なテーマ曲を聴きながらクレジットを確認してみると、確かにブリンナーが遥か格上であることはわかるが、 “Seven Samurai”、Toho Company.Ltdのクレジットはしっかりと確認できても、ブロンソン、コバーン、ロバート・ヴォーンなどの名前はうっかりすると見失うくらいに通り過ぎる。
今でこそオールスター映画だが、製作当時はブリンナーのワンマン映画という位置づけだったのかもしれない。

 最初にテレビで観た時、野党の大将があの『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』の“きたない奴”イーライ・ウォラックだったことなど気がつかなかった。改めてみると結構ブリンナーとのサシの芝居がたっぷりと用意されているし、意外なくらいにホルスト・ブッホルツの見せ場が随所にちりばめられている。なにしろ役どころは農民出身であることを隠してガンマンとして振る舞い、村の娘と恋に落ちるという『七人の侍』での三船敏郎と木村功の役を合体させたものなのだから見せ場は満載だ。
そのホルスト・ブッホルツを後年ロベルト・ベニーニの『ライフ・イズ・ビューティフル』で見つけたときには、その深みのある演技に「ほう〜」と感心させられたことを思い出す。

 この物語はブリンナーが7人のガンマンたちをリクルートする前半と、いよいよ野盗とのガンファイトが展開する後半とに二分されるようなことがいわれている。しかし、実はガンマンたちが野盗たちの襲撃に備えて塹壕を掘り、罠を仕掛け、村人たちに銃を教えていく中盤が一番の核になっている。これは『七人の侍』についても同じ。
この中盤の展開で村人たちの中にも闘う者と動揺する者同士の葛藤があり、ブッホルツが村娘と恋に落ち、ブロンソンと子供たちとの交流が描かれていく。
とくに「お父さんたちは臆病だ」と詰る子供を叱りつけるブロンソンが「お父さんたちはお前たちを育てるために一生をロバと一緒に泥まみれで働いているんだ、俺にはそんな勇敢な真似はできない」と諭す場面がいい。ブロンソンが大スターへと上り詰めていくのが頷けるほどの説得力だ。
そしてこれを伏線にして「勝ったのは俺たちではない、農民たちだ」という名台詞へと繋がっていく。

 確かに『七人の侍』ほどの緻密さはないが、この話を2時間8分というスケールでまとめたジョン・スタージェスのキレのいい演出。やはり西部劇史上に名を残す名作といっても過言ではないのではないか。




2010.8.17 TOHOシネマズ海老名


author:ZAto, category:映画, 18:13
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