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城島健司が来る

 城島健司の阪神タイガース入団発表から数日が経過した。
日本シリーズが始まったこともあって、喧騒は沈静化したようにも思うが、
気分がどうにも浮ついたままで、まだまだ現実感に乏しい。
様々な想像をめぐらすにしても、どこかで冷めてしまう夢物語ではないのか。
まだ城島が縦ジマのユニフォームに袖を通していないのだから、
現実感に乏しいのは仕方がないことなのだとしても、
そんな気分でいるうちにこの文を書いておくとする。


 日本シリーズは何となくテレビで観るにしても、
毎年、ドラフトが終ったこの時期には私はすっかりオフモードに入る。
ある意味、殆どの情報を遮断したくなるのだ。
秋季キャンプはもとより選手の年俸交渉などはどうでもいいことだし、
開幕投手予想やオーダー予想などにもまったく興味が湧いてこない。
来季の展望に思いを馳せるより、終ってしまったシーズンを邂逅する方が好きなので、
キャンプが始まってからトレードによる新戦力を知ったりすることもある。
野村克也の監督決定のオフは妙な気分だったし、星野仙一には違和感だけがあった。
金本、新井の入団のときにも「へえ〜」と思っていた程度で、
2003年のキャンプが始まり、手製のタイガース卓上カレンダーを作ったときも、
星野、井川、今岡、矢野、濱中…。金本を入れ込むことなど頭からすっ飛んでいた。
金本知憲には開幕してから存在感の凄さを知らされたという思いが強い。
もともと私は大物のFA獲りを否定はしないが、冷ややかなスタンスを取り続けている。
清原から始まって、中村紀、ペタジーニ、黒田、グライシンガー、三浦。
阪神球団が獲得に失敗したニュースが漏れ聞こえてもまったく意に返さなかった。
単純な生え抜き主義者でもないし、補強の必要性は十分にわかっているつもりだが、
スターと呼ばれる選手ならば、ドラフト指名からレギュラーへと頭角を現す過程を見たいとは常に思っているし、
そこにファンの醍醐味があると信じているのだ。

 しかし、そんな私であっても城島健司獲得はまったく次元の違う話だった。

城島健司 今、2010年度のペナントレース開幕が待ち遠しくて仕方がない。
我ながら、こんな思いは長いタイガースファン歴でも珍しいこと。
強いていえば岡田彰布が入団したオフに微かな胸騒ぎを覚えた記憶があるくらいか。

 先月、城島健司のマリナーズ退団のニュースが出たと同時にタイガースが獲得を表明。
ほぼ一週間後の10月27日に阪神入団発表。
電撃のような一週間だったが、私は144試合のレースほどのボリュームを感じていた。
ホークスファンのポン友とのやり取りにも熱が入ったし、
とくに即入団発表との報道にソフトバンクが「待った」を掛けたときの緊迫感。
王貞治は城島にとって偉大な存在だろうが、プロ野球界にとっても偉大な存在なのだ。

 今季、タイガースは首位と24.5ゲーム差でBクラスに甘んじた。
補強ポイントは様々だが、正捕手の獲得、右の大砲の獲得は急務でもあった。
しかし城島という存在を補強ポイントのカテゴリーに納めることなどとても考えられない。
おそらくタイガース史上でも最大級の単独入団であることは間違いないだろう。
それほど私は城島を特別な目で見ていた。

 私は「敵ながらあっぱれ」という感覚には比較的陥りやすい。
それは幾度となく味わってきた。
しかし「惚れてまうがな〜!」とまで思ってしまったのは城島健司だけだった。
2003年の日本シリーズの第一戦で井川から放った豪快な一発。
苦手とされた左投手に対して邪魔な肘当てを外し、高めのボール球をフルスイング。
まるでピンポン玉が弾かれたように打球はレフトスタンドに消えていく。
忘れられないホームランはいくつかあるが、その中でも超ド級の一発だった。
サードベースを回る城島を包み込むオーラもさることながら、
フィジカルにもメンタルにも次元が違うものを感じて、
悔しいと思うよりもボ〜と呆れながら、何となく尊敬している自分がいたのだった。
結局、このシリーズで城島は4本のホームランを放ったと記憶しているが、
この井川を打ちのめした一発だけで、城島を特別な選手だと思い込んでしまった。

 しかし、あの日本シリーズからすでに6年。
WBC日本代表の要としての城島の姿は見てきたが、シアトルでの城島のイメージはイチローという光の影で正直言うと地味な印象があった。
あの日本シリーズで見せたオーラは果たして健在なのだろうか。
その幾ばくかの杞憂を、城島は記者会見の席で鮮やかに吹き飛ばしてくれた。

   「まだスタートラインに立ったばかりですし、本当の大声援を頂くの
   は、初登場のときではないですし、初試合のときでもないし、初打席
   のときでもない。阪神ファンの皆さんが「城島を獲って良かった」と
   いってもらえるくらいの成績を残して、頂く大声援というのが野球選
   手としての本当の大声援だと思います。」

 こういうことを記者会見でいってのける選手が欲しかった。
「初登場、初試合、初打席」と「初」を重ねながら絞ってくるセンスもいい。
確実に甲子園のバッターボックスに入る自分をイメージしている。
なかなかクレバーではないか。

 この城島が、やはり2003年日本シリーズで3本のホームランを放った金本とクリーンアップを形成する。
こんな夢にそうそうありつけるものではない。
確かに矢野や狩野の処遇は気になる。しかし夢の大きさが飲み込んでしまう。

 すでに来季が待ち遠しい。




author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 17:14
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Comment
「南くん、すげぇ」
最初の感想がそれでした
球団社長をつかまえて南“くん”もないもんですが京都の雑誌屋時代からフリーランスの記者活動を始めた時分、タイガースの窓口は広報担当の南さんだったことに加え、ワタクシ、この人を選手上がりだとずっと勘違いしてたこともあって、なんとなく「南くん」と呼んでたクセがいまだに抜けません
ここからはちゃんと「南さん」と呼ぶことにしましょう

南さんが社長に就任したと聞いたときにはびっくりしました
どのぐらいびっくりしたかというと、持っていた名刺と新聞に出ている名前を突き合わせて字面が同じであることを確認し、ニッカンのトラ番に「これ、あの南くんだよな」と問い合わせた、そのぐらいでした

電鉄本社の人だったとはいえ、それまでの落下傘で降りてくる球団社長と比べて、広報という現場上がりの社長はやっぱり危機感が違います

現場首脳陣が矢野にさせてはいけない手術を許可したうえに別箇所の骨折が発覚した現在、事実上捕手は狩野一枚ですから補強が急務、それも「なんでもいいからもう一枚」ではなくて、一年を任せられる捕手が必要、なおかつ打線も強化したいとなれば城島健司は願ってもない選手です

「城島がシアトルを退団する」
その情報を南さん以下阪神球団が持っていたこと自体がまず驚きですが、そこいらが広報上がりということと何か関連性があるんでしょうか
オーナー付きシニアディレクターとか駐米スカウトという肩書きの「阪神年金生活者」である三人がこの件でなにか貢献したという話は寡聞にして知りません
岡田彰布にいわせればオマリーやシーツの駐米スカウトは「ただ住んでるだけやん」ですし、星野仙一の監督退任後の活躍はニュース番組とゴルフ中継だけで確認できます、野球はやってません
北京五輪の野球日本代表チームに指導者は大野というコーチこそいましたが監督はいませんでしたし

それだけに今回の南さん以下阪神球団の情報収集力と赤星憲広を上回る機動力には頭が下がります

で、たりない先発投手二枚と中継ぎ投手二枚はどうするんですか南さん
いいドラフトをしたとは思いますけれども、もうひとつふたつ、その耳と脚を使わないといけないと思いますが
イングラム, 2009/11/04 10:30 AM
横レスです。すいません。


素人考えの域を出ないのですが。

>イングラムさん

>たりない先発投手二枚と中継ぎ投手二枚はどうするんですか

福原忍をセットアッパーに持ってくる、ってのは如何なんでしょうか。
勿論、福原本人の希望は知る由もありませんが。



狩野に関しては。
「城島が阪神に来た今、『ツメをじっくり研いでおくチャンス』だぜ」と。

4年後、城島が阪神との契約を更新するとは限らないのですから。
tatsuya69, 2009/11/05 12:25 AM
イングラムおはようございます。

今思えば野崎前社長は2004年の球界再編成の時に、阪神球団史上初めて読売支配体制に異を唱えて、東奔西走した気骨の人という評価があると思うのだけど、
南球団社長か。あまり考えたことがなかったな。
マスコミへの露出やリップサービスを含むコメントの巧さでは坂井オーナーの方が目立っているので、南さんの方はオーナーを前面に出して一歩下がっているというポジションなんでしょうか。
南さんが広報上がりというのも知りませんでした。
広報という仕事は組織の上から下、右から左まで把握していないと務まらない仕事だと認識しているので、ある程度はフロント、スタッフ、選手とそれぞれの立場の目線で組織の状況を把握出来るだろうし、当然、外部への目線も確かだろうから心強くはあるね。

城島獲得もさることながら、この不況時に今季12球団で唯一、年間観客動員を300万人に乗せたという実績は広報上がりのマーケッティングの確かさもあったのかもしれません。


Taっ!おはようございます。コメントありがとう。

イングラムは下柳セットアッパー推進論者なんだけど、福原のセットアッパーの可能性について自分も聞いてみたい。
下柳は言わずもがだけど、福原だって後ろを任されていた経験があるわけだから、
この二人の前職復帰は可能性としてはアリなのかもしれないね。
狩野については自分も後でコメントを追加します。


ZAto, 2009/11/05 7:05 AM
Taっつん、ごぶさたです

福原の今後についてはひとつ本人が考えるべきことがあると思います

「投球スタイルを変えるつもりがあるかないか」

福原というとメンタリティの問題を取り沙汰する意見をよく見かけますが、要は投球パターンの引き出しが「力で抑えこむ」しかないのが最大の問題ではないかと

球種を増やして制球に磨きをかけて軟投派を目指すというのが福原再生のひとつの方法ではないか
それをするつもりがあれば、少し時間は必要でしょうが先発のままでいけると思います

もしその気がないとすれば「回の頭から(他人が残した走者を背負わせない)」という条件つきでセットアッパーに回るという手は福原再生の課題にあって最上の方法だと思います

ワタクシ確かに下柳セットアッパー説を持ってはいますが、下柳に昔みたいな「力まかせに毎日投げる投手」のイメージが薄らいじゃったんで、福原セットアッパーがかなうならそちらの方がよいかと思います
イングラム, 2009/11/05 10:22 AM
南さんは甲子園球場長だった時期もあるそうで、「コンピュータ付きブルドーザー」こと小津正次郎とはまた違った「阪神タイガースにとっての現場の叩き上げ」みたいな社長なんですね(小津は電鉄本社での叩き上げですから)
岡田なんかは全幅の信頼を寄せてるようです

プロ野球のいわゆるフロントにあって「オーナー」と「代表」と「社長」の業際とか上下関係は不勉強にしてわかりませんし、わかったところで観戦ライフのなんの足しにもならないので放っておきます
ひとついえるのは阪急・小林とか南海・川勝とか広島・松田とか阪神・野田誠三(野田阪神駅と間違えるといかんのでフルネーム表記)みたいな「本当の意味でのオーナー」は現在ひとりもいない、12球団ともオーナーも代表も社長もみんな「雇われ者」だということです(孫と三木谷は立ち位置がようわからん)

雇われ者の序列でいうと電鉄本社からの落下傘部隊より、子会社の球団叩き上げである南さんはやはり一歩引かないといけないのかな
阪急に統合されたんでかつてのように阪神タイガースが本社を上回る最優良子会社ってわけでもないんだろうし
イングラム, 2009/11/05 11:08 AM









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