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神様の同点打 【8.7東京ドーム】
s_HIYAMA.jpg 甲子園を高校野球に明け渡し、最初の遠征先となった広島マツダスタジアムでの三連戦を惜敗→完敗→惨敗という形で終え、いよいよ伝統の一戦である宿敵・巨人戦に臨むべく東京ドームに乗り込んできた我らが阪神タイガース。目下、巨人戦6連敗、東京ドーム7連敗中とまさに相手にとって不足なし。ロンドンオリンピックの最中にも関わらず真夏の天王山に41、511人の観衆が見守る中、いよいよ闘いの火蓋が切って落とされたのであった。。。

 と、冗談めいた書き出しではあるが、結果は延長十回1-1の引分け。
もしペナントレースが首位の虎を僅差で巨人が追うというシチュエーションであれば、
この試合は凌ぎ、凌がれの痺れる試合として記憶に刻まれる試合になったはずだ。
まして4.30東京ドームで69年ぶりの0-0を演出した先発の再現というお膳立てもある。
六回に先制されたものの、八回にマートン死球。代走の上本が果敢に盗塁を成功させ、
良太が三塁に送って代打の檜山が山口の初球をセンター前に弾き返すという同点劇。
その後は藤川球児が2イニングを跨ぎ、とくに九回には足のスペシャリスト鈴木を小宮山が刺すという痛快な場面も加味されて、まさに和田阪神が、手も足も出なかった山口から執念の引分けをもぎ取った一戦として特筆すべき試合になったのだと思う。

 悲しいかな現状が違えば試合の評価もガラリと一変する。
確かに広島で手痛い3タテを喰らい、何としても負けたくなかったのは解る。
良太のバットが前日の広島から湿りがちだったという事情もあったのだろう。
ランナーを溜めてひっくり返すことより、アウトひとつを犠牲にしてまず同点という選択肢もアリかといえばアリだ。
しかし借金15と低迷するチームが引分けで試合を消化することは負けも同然。
勝つしかないチームが一死二塁の場面で勝つことを遠ざける采配に失望は禁じ得ない。
おそらく自軍の攻撃力では山口から2点を獲るのは不可能と踏んだのだろう。
勢いのあるチームがやれば積極策でも、逆のチームではとんだ消極策に見えてしまう。
同じ野球をやっても評価が違ってしまうところに、今のタイガース観戦の窮屈さがある。

 澤村は六回5安打6死球で降板。
普通このピッチングに対して0で抑えられているのがおかしい。
おそらく活発な打線だったらとっくにKOしていただろう。
逆にこの内容でも失点がなければタイガースならば間違いなく七回も投げさせたはずだ。
リードしている側の先発が先に降りると、台所事情の違いを見せつけたようで非常に気分が悪い。

 それでも良くしたもので、人間は都合のいい場面だけを記憶として残していく。
DeNaの三浦大輔に沫やノーヒットノーランかという展開になった横浜スタジアムの試合でさえ、それを阻止した檜山の一打が記憶に留まった。
この試合も難攻不落だった山口から “代打の神様” が起死回生の同点打を放った試合として記憶に残っていくのだろうか。
そう、これからのタイガースの試合は、ペナントレースの流れに関係のないところで価値を見出していく作業になるようだ。




◎7月07日(土)|巨人16回戦(東京ドーム)18:00開始/41551人/3時間47分
先発:メッセンジャー×澤村|スコア:1-1|
※Tigers DATA Lab.


author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 15:13
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自力優勝消滅 【7.7東京ドーム】
 現在8月7日。
あちゃー、東京ドームの試合から一ヶ月も経ってしまっている。
これでは観戦記もへったくれもなく、そもそも7月7日の七夕にタイガースが東京ドームで強い巨人相手にどんな試合をやったかのかも今では覚束なくなっているのだが、Tigers DATA.Labに掲載されている「選評」を丸写しするとこうなる。

がんばれ新井 【巨人が今季6度目の3連勝、引き分けを挟む本拠地7連勝で10年10月7日以来
の貯金16。。1-3の2回に寺内の09年4月18日以来通算2本目の本塁打と長野の9号ソロで同点。再び2点を追う5回に平野の2点タイムリーエラーと高橋由の犠飛で逆転。高橋由は7回にもタイムリー。先発杉内は阪神の能見に投手から共に初の長打を浴び打点を与えるなど移籍後ワーストの5失点。2人目高木京が07年4月11日の金刃以来となる球団新人左腕の白星。6人目マシソンが6セーブ目。阪神は今季3度目の最長タイ5連敗で自力優勝消滅。借金はワースト8で東京ドーム6連敗。先発能見が5回6失点で6敗目。新井良がプロ初の3安打。】

 ざっとこんな試合だったが、この「選評」を見るだけでグッタリくるというものだ。
16あった巨人の貯金は現在25まで伸ばし、一方、この試合で自力優勝を失ったタイガースは借金15の惨状だ。
つまりこの一ヶ月間に両者のベクトルにまったく変化がなかったのだが、もはや首位・巨人とそれを比較すること自体がおこがましく、4位のヤクルトよりも最下位の横浜DeNaとの差のほうが近くなっている。
まったく一体何がどうなって和田阪神タイガースは低迷してしまったのだろうか。

 この日の試合は能見と杉内の投げ合いだった。
かつて巨人キラーといわれたトラの暫定エースと、2003年の日本シリーズ以来、虎キラーであり続けている杉内との対決で、まず期待したのは投手戦だ。
それが初回に早くも能見が一点を献上し、その直後の回では杉内をタイガースの下位打線が捕まえて逆転するという展開となる。
今成と能見にタイムリーが生まれるなど、バッテリーが攻撃で結果を残したこともあって、これはノッてくるぞと思いきや、またその回の裏で伏兵・寺内と長野に一発を浴びて同点に追いつかれるなど、序盤からドタバタした試合になってしまった。
普通、バッテリーが打って逆転したのだからその試合はたイタダキだというのが野球の「流れ」というものではないだろうか。
今季のタイガースは「流れに乗れない」「きっかけが掴めない」と耳にタコができるくらいなのだが、それを象徴した場面ではなかろうか。
そもそもこの試合で新井兄弟が揃って猛打賞というオマケもついて、そういう試合なら普通は勝つと思うのだが・・・。

 敗戦が決定的になったのは無死二三塁のピンチで平野の本塁悪送球だったのだが、丁度この頃に不振を極めていた平野が守備でも足を引っ張ることが多かった。
確かに身長170cmにも満たない身体で毎日試合に出る疲労たるや相当なものだとは思うのだが、平野もそんな同情はされたくはないだろう。
実は昨日の広島戦でも平野は同じように本塁悪送球で先制点を許している。
そもそも打てないのは相変わらずとしても、守りにも綻びが出だすとなるとチーム状況は深刻だ。
去年、新潟で行われたファーム日本選手権でタイガースはワイルドピッチで2点入れられるという失態を演じ、新潟の観客から「所詮、二軍だな」とため息混じりにいわれていたが、一軍でも同じシーンを松山で演じていたりもしている。
うーん、もしかしたら現状のタイガースは二軍以下なのかもかもしれない。



◎7月07日(土)|巨人11回戦(東京ドーム)18:00開始/44441人/3時間21分
先発:能見×杉内|スコア:5-7|勝:高木京/S:マシソン/負:能見
※Tigers DATA Lab.


author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 00:14
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キャプテンの証明 【6.30明治神宮球場】

 キャプテン鳥谷 読書感想文や映画のレビューと違って、野球の観戦記は難しい。結局、どんなチームでも長いシーズン中に “会心のゲーム” はやる。しかし結局4/144でたまたまそう試合に出くわした幸運な観戦記は書けても、シーズンを通して野球を楽しむ者にはそれだけでいいのかとなる。
6月30日の神宮球場でタイガースは鳥谷、ブラゼルのホームラン2本を含む12安打で6対4というスワローズに競り勝った。
今季初先発の秋山に勝ち星がつき、先制、中押し、ダメ押しと点の入れ方も効果的で、試合自体も面白かった。
おそらくこの試合だけ切り取って観戦記にまとめれば、それほどタイガースに批判的な文章にはならないのだろう。
何よりもこの試合の直前まで4連敗だっただけに、3打点をあげた鳥谷を筆頭に打線も活発に機能し、秋山から繋いだリリーフ陣も四回以降は得点を許さなかった展開に、捲土重来の意志をチームから読み取ることもできたのかもしれない。
しかし、観戦記の執筆を伸ばしてしまった結果、この “会心のゲーム” の後のタイガースは再び4連敗。結局、6.30など梅雨の中休みに過ぎなかったというのが現実としてある。
そう、野球は、ペナンレースは、生モノなのだ。

 私はこの日の鳥谷に感服していた。
ライトポール際の先制ホームランも、左に流したタイムリーもよかったが、五回表一死一三塁の場面で3ボール0ストライクの場面でも思い切りよく強振して右中間に高々と犠牲フライを放った場面に、鳥谷の復活を確信していた。
従来の彼ならばここは必ず待つ。まず3−0になった時点で四球を狙ってくる。
彼の選球眼の良さによる四球多さはタイガース打線の武器のひとつではあるのだが、
同時に三番を任されたキャプテンとして物足りなさを感じさせることも少なくなかった。
だから3−0となった時点で「鳥谷、打てっ!」と思わず叫んでいた。
打った瞬間に神宮のネット裏から「よしっ!」という快哉が聞こえたはずだ。
データを見るとこの試合後の4連敗でも、それほど彼のバットは湿っていないので、
この一週間遅れた観戦記でもかろうじて鳥谷への期待は継続中といったところだろうか。

 鳥谷の胸につけられたキャプテンマーク。
デビュー当時に藤本とのポジション争いで、幕下付け出し的な扱いでスタメン出場したときの虎ファンの厳しい視線の中で、よくここまで耐え抜いてきたものだと思う。
2003年に3割をマークして優勝に貢献したとはいえ、藤本の弱肩はタイガースの弱点であり、名手のアリアスのグラブ捌きの恩恵が得られなくなった時点で、藤本のショートはないと見ていたので、鳥谷の伸びシロに賭けた岡田彰布の判断は正しかったと思っている。
しかしエリートVS雑草という図式でファンの判官びいきが藤本に集まったことで、鳥谷にとって相当の試練に晒されていたことは間違いないだろう。
私は貰っている年棒で選手をとやかくいうのは大嫌いだが、
ダントツの高給見合う活躍を見せるのは、まだまだこれからだと思っている。
キャプテンである以上、チームを勝利に導く重責も課せられている。
鳥谷はキャプテンとしの姿をもっと証明していかなければならない。




◎6月30日(土)|ヤクルト7回戦(神宮)14:00開始/27015人/3時間23分
先発:秋山×ロマン|スコア:6-4|勝:秋山/S:榎田/負:ロマン
※Tigers DATA Lab.


author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 23:59
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復調はホンモノ? 【6.16 GVCマリンフィールド】

 タイガースは交流戦全日程を終了し、ペナントレース再開までの中休みの状態にある。
この時期に梅雨前線に台風が重なり日程が消化できないでいた4チームは気の毒だ。
直近のタイガース打線は西武ドームで13安打を放って3点のビハインドをひっくり返し、
千葉に乗り込んで連戦をそれぞれ16安打、17安打と打線が爆発した。
テレビ中継の実況席でも「阪神打線に復調の兆し」との論調も目立ち始めてきたようだが、
それなら、なおのこと5日間の中休みは痛し痒しだという気もしないではない。
ベテランが多いチームゆえにそのあたりの調整で心配することはないだろうが、素人ファンの感覚では、直ぐにでもバッターボックスに入りたい気分ではないかと想像してしまう。
少なくとも新井良太あたりはうずうずしているのではないだろうか。。s_creg.jpg

 この三試合の好調な打線を牽引しているのはクレッグ・ブラゼルだ。
最近20打席で3割5分。何よりも三振が5つしかなく、そのうち見逃し三振が2つもある(Tigers data lab.)のは、一応バッターボックスで好球を待てるようになってきた証しではあるのだろう。
とにかく今までブラゼルはチーム低迷の象徴のような存在だった。
バットにボールを当てる気があるのかと思うほど、ただブンブンと振りまわす。
観客たちは彼が最後のバッターボックスに立ち、2ストライクの空振りを観た途端に一斉に帰りの仕度を始めたものだった。
ヤクルトが不振のバレンティンを二軍に落として調整させたのを、ブラゼルにも当てはめらるのかというと、むしろ怪我を理由に帰国→そのまま退団というコースが容易に想像出来てしまい、私はブラゼルがチームメイトのままでシーズンを終えることはないと半ば確信していたほどだったのだ。

ブラゼルが六、七番の位置で打つようになれば、打線が一気に厚みを増す。
何よりも芯を喰ったときの弾道は未だに脳裏に鮮明で、東京ドームや浜スタで見せた物凄い一発は一生忘れないだろうというほどの破壊力を持つ。
まだ統一球への対応が出来ていないものの、ブラ砲復活に思いを込めて8月の東京ドーム3連戦の(私としては珍しく)外野スタンドのチケットを買ってしまったのだから、我ながら何と健気な阪神ファンなのだろう(苦笑)。

 さてこの6.16千葉の試合は、そのブラゼルの2ベースで初回に3点を先制した。
この点の取り方が良かった。いや本当はひとり前の新井で決めなければならなかったのが、一死満塁が二死となって、またチャンスを生かせないのかと思った瞬間にブラゼルが走者一掃の右中間2ベースを放つ。これは嬉しかった。
序盤三回で8-1の大量リード。
メッセンジャーの安定感を以ってすれば楽勝の展開なのだが、ロッテ相手の試合は大荒れとなることが多い。
一番記憶が鮮明なのは2007年の2-7の5点差で迎えた最終回に9点を取った大逆転勝利だが、翌年の千葉では鶴のデビュー登板で、0-7と大量リードを奪われるも、最終回に同点に追いつき、最後は9-10でサヨナラ負けを喫した試合もあった。
そもそも2005年の日本シリーズでの濃霧コールド負けの時から両者の対決は波乱含みで、先日の甲子園でも0-6から引分け試合に持ち込んだばかりだから、とてもではないが安心して観るまでには至らない。そもそも7点差といっても残りの回はたっぷりある。

 そして一番の不安は私自身が球場でことごとく勝ち運に恵まれていないこと。
去年の夏の浜スタで引き分けて以来、殆ど勝ち試合にお目にかかることがなく、
改めて数えてみたら、公式戦1勝11敗2分けという成績で、目下6連敗中。
ある意味、私自身が低迷の具現者みたいなものではないかとマジで悩み始めていた。
案の定、タイガースは四回以降、ゼロ行進が続く。そして点差は縮まる一方だ。
最終回に故障中の藤川に代わってマウンドに立った福原。
簡単に2アウトを取ったものの、27個目のアウトになかなか届かない。
しばらく球場でやっていなかった「あとひとり」コールを打者五人にたっぷりとさせられてしまった。



◎6月16日(土)|ロッテ3回戦(QVCマリン)14:00開始/28801人/3時間36分先発:メッセンジャー×香月|スコア:8-5|勝:メッセンジャー/負:香月
※Tigers DATA Lab.
 


author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 23:59
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球際の弱さ 【6.3札幌ドーム】
 
s_nine.jpg 早いもので札幌ドームでの連敗から二週間が過ぎた。
二週間も放置してしまった負け試合の感想を今更まとめるのは、かなり億劫だ。
しかしこの二週間の間にタイガースが劇的に強くなって連日連勝という話ならば、何とも間延びした感想文になってしまうのだろうが、幸いにして(?)チーム状況も、その試合ぶりも札幌の時と大して違っていないので、二週間前の感想でも違和感なく繋がってしまうことだろう。まったく情けないが。

 昨日は球児でサヨナラ負けを食らうという、虎キチにはショッキングな試合だった。
もっとも、私が遠征でサヨナラ負けを食らったのは今回が初めてではない。
二年前のKスタ宮城での楽天戦でも、渡辺亮が痛打を浴びてサヨナラ負けを喫している。
しかしその時の試合は、振り返ればいろいろと思い出すこともあるのだが、翌日は最終回での逆転劇などがあって、それほど記憶に残るサヨナラ負けではなかった。
要するに、二連戦の終わりが良ければ救われて帰ってこれるのだ。
だから、何としてでも今日は勝ってほしい。
メッセンジャーよ、縁起かつぎのラーメンを食ったか?ここは札幌で一応は本場だぞ。
と、それなりの思いを込めて札幌ドームのゲートをくぐったのだ。
結果、あえなくその期待は潰え、勝利の大歓声で酔いしれる北海道民に包囲されるように札幌ドームを後にしたのだった。

 さてこの日の札幌ドームの試合で感じたこと。
それはタイガースの選手は「球際」に弱いということだった。
野球で「球際」というと主に守備面で使われることが多く、よく実況中継でも「平野選手は球際に強いですねぇ」などと、ファインプレーの後などに表現されるのを耳にする。
ところがサッカーで球際というと、パス、ドリブル、シュート、トラップ、キープから当たりまで、どちらかといえば攻撃面で使われることが多いように思う。
サッカーはよく知らないので頓珍漢な話をしていたら申し訳ないが、
例えば野球でも、甘い球を見逃さない、バットの芯でとらえる、ストライクからボールとなる球を見極める、ガラ空きの三遊間を狙い打つなど、これら打撃面でも球際に強いということにはならないだろうか。
それは「スコアニングポジションから走者を還してやる」「この試合だけは絶対に勝つんだ」という強い気持ちまで飛躍するものであるに違いない。
野球はあれだけ広いフィールドを使いながら、小さなボールを介した投手と打者の一対一の対決に集約されるのだから、様々な局面で球際の強さが求められる競技だと思う。
その球際に阪神タイガースの各打者は極端に弱い。
昔からここ一番の勝負で弱さを露呈するのも、クラシリでファーストステージ敗退を繰り返すのもすべては球際の弱さではないのか。
そもそも未だに1973年の甲子園最終戦の巨人戦惨敗がトラウマになっていること自体が、いかに回ってきた舞台が少ないかの証しみたいなものではあるのだが。

 話の風呂敷がだいぶ広がってしまったので、6.3札幌ドームの試合に話を戻すと、
相手先発の武田勝は打者の手元でボールを動かしてくる投手だと認識している。
スタンドから観ているとスリークォーターのモーションはそれほどの威圧感はなく、
なぜ、ダルビッシュが抜けた後のハムの絶対的エースと目されているのかピンとこないところはあるが、これがなかなか掴まえることができない。
実はこの試合、タイガースは一度も三者凡退がなく、常に塁上にランナーがいた。
ヒットは出るも得点機が訪れると途端に萎縮したような打撃陣。
だからタイガースのチャンスは端から観ると「ピンチか?」と思ってしまう。
それはスタンドに各打者の球際の弱さが伝わってきてしまうからではないか。
言いたくはないが、巨人に水を開けられてしまったのもそこがすべてだ。
それとも打撃成績16位の鳥谷がチーム最高順位というのだから、この話は前提そのものが成り立っていないということなのか。

 新井がベンチスタートで、代わりに関本がスタメン出場。
関本がよっぽど調子がいいのであれば仕方ないが、新井よりも低い打率で4打席バッターボックスに入る。
はっきりいうと、関本の4打席にはまったく夢が感じられなかった。
逆にいえば、ここ一番の「代打・関本」の球際の強さが、4打席見せられることで奪われてしまったようにも思う。
新井は何故か私が球場に行ったときには、何らかの結果は出してくれる。
そんなイメージがあっただけに、ベンチを温めていたのが残念でならなかった。




◎6月03日(日)|日本ハム4回戦(札幌ドーム)14:00開始/33783人/3時間31分
先発:メッセンジャー×武田勝|スコア:3-7|勝:増井/負:筒井
※Tigers DATA Lab.


author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 18:30
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北都愕然 【6.2札幌ドーム】

s_kyuli.jpg 「北都愕然」というタイトルをつけたが、阪神ファンだけがガクゼンとしたのであって、とくに札幌の街全体がガクゼンとしたわけではないが(当たり前か)、北海道民の大歓声を背中に聞きながら、スタンドを足早に去る虎党たちは、皆ガックリと肩を落としていた。
試合は延長10回裏。一死満塁から藤川が田中賢にセンターを抜かれてサヨナラ負け。
今まで遭遇したサヨナラ負けを数えると両手で足りないくらいだが、藤川がそれを喰らうのを間近に観たのは初めてだった。
「球児で負けたんなら仕方ねぇ」と虎ファンなら思うのだろうが、ツーベース、敬遠、四球、タイムリーという幕引きはショックだった。
そんな試合をわざわざ北海道まで観に来たところに我ながら苦笑いを禁じ得ないところではあるのだが。

 早いもので、前回の札幌ドーム観戦からすでに4年が経っている。
何も変らないようでいて、4年前とは住んでいる処も勤め先も違う。
2008年の初夏にはトップに赤星がいて、5番を葛城が打って、サードはバルディリスが守っていたが、金本の4番だけは変っていない。
一方の日ハムは4年前もスタメンに顔を揃えていたのが、田中賢、稲葉、小谷野の三人。
変るものは変ったし、変らないものは何も変っていないということか。
今回の札幌ドーム遠征は開幕前から計画していたわけではなかった。
「行くか」となったのは、5.12横浜スタジアムで三浦にあわやノーヒットノーランという試合の帰りに立ち寄ったラーメン屋でメッセンジャーを見つけたときだった。
大人しく吉村家の行列に並ぶメッセに、出し抜けに阪神愛が湧いてきてしまったのだ。
あの時のチーム状況も最悪だったが、このフラストレーションのまま交流戦が千葉に来るまで一か月以上も待たされることが、何故だか「ありえない」ことのように思ってしまった。

 それにしても、問題は我が藤川球児。
2006年に久保田の怪我でクローザーとなって以来、虎の守護神であり続けた男。
神宮や西武ドームのように、ブルペンが見える球場で何度も目撃しているが、
登板がなかった試合でも彼はブルペンで準備をしながらじっと試合展開を見ている。
肉体的にも精神的にも、この6年間に蓄積された疲労は相当なものだっただろう。
こんなことは誰もがいうことではあるが、改めてそのことに思い至ってみる。

 7回登板時代から数年間の藤川は我々にとってまさに神の化身だった。
彼の名が呼ばれた時点で勝利は確定し、我々は三振ショーを堪能すればよかったし、
阪神ファンを45年間やっている中でも、それは突出して「幸せの時間」だった。
確かに2年ほど前から、プロの打者が分かっていても打てない、 “火の玉ストレート” のイメージは影を潜め、変化球もまじえた投球術でかわすようになっていた。
三者凡退で終わらないことも、今では当たり前のようになってしまったが、
かつてバットにかすりもさせなかったストレートが、簡単にファールで逃げられるたび、
藤川はマウンドで焦燥感を募らせているのではないかと想像してしまう。
「いつもマウンドに上がるときは、打たれそうで怖い」とのコメントは本音だろう。
それでも藤川は揺るぎのない絶対的な守護神であることには違いない。
「あと一人」「あと一球」が大音響でこだまする中、相手から27個目のアウトを奪う。
大歓声の中でマウンドに集まるナインとハイタッチし、拍手でベンチに迎えられる。
藤川はその瞬間のために6年間投げ続けている。

 田中賢の打球が大和の頭上を抜いた瞬間、藤川は早々にベンチへ駆けこんでいた。
ファンにダラダラとうな垂れる姿を晒したくないというよりも、
この空間からすぐにでも自分を消しまいたいという風にしか見えなかった。
「引き分けは野球じゃないと思っている。妹にキスするようなものさ」
直前の甲子園の試合でサヨナラヒットを放ったブラゼルはお立ち台で言い放った。
せめて藤川も「引き分けに持ち込む仕事じゃモチベーションが上がらなかった」と、
強気に思ってくれていればいいのだが。



◎6月02日(土)|日本ハム3回戦(札幌ドーム)18:00開始/34170人/3時間37分
先発:能見×ウルフ|スコア:1-2|勝:武田久/負:藤川
※Tigers DATA Lab.




author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 23:59
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沫や! 【5.12横浜スタジアム】
 
熱くなれ! 沫やと書いて「あわや」と読む。
「あわや、ホームランかという大きな当たり」など、実況でよく使われる言い回しだ。
因みに泡沫と書くと「うたかた」と読める。ニュアンス的に「沫や」とは、成し遂げようとした側に寄り添う言葉なのかもしれない。
「あわや大惨事」などともいうが、「三浦大輔、あわやノーヒットノーランか!」という表現で今日の試合はまとめることが出来るだろう。

 今季は、貯金のあるチームの応援に球場へ来ている筈なのに、なかなか勝てない。
それも、マートンがライト前ゴロを後逸してフェンスまで転々とする場面や、
能見の一塁トスがとんでもない悪送球となってしまう場面など、
ちょっと信じられないような走者一掃の珍プレーを目の当たりにしてきた。
そして今日は、八回終了まで三浦に無安打無得点に抑えられていたタイガース。
いよいよあと3つのアウトでノーヒットノーランの大記録を献上することなる。
浜スタの空気が次第に騒然としてくる中で、いやはやエライ試合に来てしまったものだと嘆きつつ、運の悪さもここに極まったかと、、、。
しかしかなりの屈辱感のうちに九回表の桧山の打席を見ていたのかといえば、
実は正直にいえばそれほどでもなかった。
むしろ相手が三浦ならばそれはそれで仕方なかんべと思っていた。
心情としては6年前にナゴヤで山本昌にノーヒットノーランを喫した時と似ているか。
山本昌と三浦はタイガースにとって二大天敵ともいえる相手だが、
私はこの二人はどうしても憎めない。
実家は茅ケ崎で日大藤沢高校出身の昌と、弱小ベイスターズの孤高のエース、三浦。
昌に喰らった記録なら、三浦にもくれちゃれと半分ヤケクソにもなっていた。
もし相手が内海や澤村だとしたら、もう怒髪天を衝いていたところだろうが。
 
 しかし三浦の出来はそんなに良かったのだろうか。
とくに先頭の鳥谷にストレートのフォアボールを与えるなど、立ち上がりは悪かった。
金本を敬遠して、二死一二塁の場面で新井を迎えたときもボールが3つ先行する。
捕まえるのならここだった。
ここで捕まえることが出来なかったら徐々に修整してくるのは、長年、三浦を見て予測がつく。
新井はスリーボールからストライクを取りに来た球をあっさりと見送ってしまう。
そして、フルカウントからボールになるスライダーを引っ掛けてピッチャーゴロ。
とくに岩田が投げている時の新井はやらかしてしまうことが多いが、それは新井自身もよくわかっていることだろう。
岩田のために何とかしてあげたいという気持ちが空回りしているのだとしても、
やはりここは結果を残してほしかった。
その岩田もどうもピリっとしない。
ランナーを出しても粘りのピッチングで抑えているのだが、
思っていた以上に修整してきた三浦と比べて、いつまでも悪いなりの投球を続けている。
案の定、六回の裏に吉村に痛打を浴びて2点を献上してしまうのだが、
敬遠で歩かせた走者を返してしまうほど歯痒いものはないのだ。

 大記録がかかった九回の表。
桧山がヒットを打ち、平野が返してようやく一矢を報いたのだが、
負けたのにもかかわらず球場を後にする虎党たちの「ほっ」とした表情が、
今日の試合のなんたるかを物語っていた。



◎5月12日(土)|DeNA8回戦(横浜)14:00開始/21670人/2時間28分
先発:岩田×三浦|スコア:1-2|勝:三浦/負:岩田
※Tigers DATA Lab.



author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 01:26
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ゼロの昇天 【4.30東京ドーム】
 
 球場観戦の中でも三連戦の3つ目は少し特別な気がする。
144試合を闘うわけなので、3/144にどこまで拘る必要があるのわからないが、
その三試合の区切りが繰り返されてペナントレースは進行していくのだから、
やはり節目の三試合の勝敗はどうしても気になってしまう。
3つ目の試合は前の2つを取っていれば、3タテへの期待感がある代わりに、
負けたとしても「なかなか3タテは難しい。ま、勝ち越したので良しとするか」などと、
試合に負けた悔しさの中でもどこかで割り切ることは出来る。
更に1勝1敗で迎えた3つ目となるとちょっとした決戦ムードとなって、
球場へと向かう観客たちの足取りにもどこか意義込みが伝わってくるようだ。
そして前2戦を落としての3つ目にはかなりの悲壮感が漂う。
もし負けてしまえば、3ゲーム差が開くが、勝てば1差で済むというのも大きいが、
何よりも3タテを食らってしまったという屈辱感がある。これはどうしても避けたい。
さて本日の東京ドームは宿敵・巨人に2連敗した後の3つ目の試合。
シーズン序盤とはいえ、絶対に落とせない試合となった。

out.jpg

 去年は思うところがあって東京ドームでの観戦は自粛していた。
必然的に去年の新人王・澤村…フルネームわかんねぇな…その澤村某を私は初めて見る。
確かにストレートも変化球も同じフォームから繰り出され、
どちらの球種も一級品なので、様々な局面で攻めの投球が出来る投手ではある。
フォームが安定しているので制球が乱れることは少ないだろうし、威圧感もある。
そもそもこんな逸材がドラフトで巨人以外の指名なしというのがおかしかった。
中央大監督の巨人OB・高橋善正に巨人以外は絶対に行かないと猛アピールさせ、
提携先のヤンキースのスカウトを招聘してメジャー視野をちらつかせて競合を牽制。
それをまことしやかに読売新聞が書き立てたものだから他球団は競争を回避する。
相変わらず、欲しい人材を獲るのに巨人はあからさまな手段を用いてくる。
先日の杉内とは違って、この澤村だけには絶対に勝たせてはならないとは思うのだが、
残念ながら今季のタイガース打線は湿りきっている。
これだけ振りが鈍くてチャンスに弱ければ、誰が投げても相手投手は一流に見えてくる。
案の定、六回まで僅か一安打で手も足も出ないが、七回に唯一のチャンスが訪れる。
ところが新井のセンターオーバーで、一塁から鳥谷が駆け込んでタッチアウト。
千載一遇の得点機会に久慈コーチャーの腕が思わず回ってしまった場面だ。
ノーアウトにもかかわらず何故、鳥谷を突っ込ませたのだといいたいところだが、
実はいわれるほど巨人の連携が良かったとは思っていない。
長野のスローは早かったが、藤村への返球はワンバウンドになっていたし、
少なくとも甲子園ならば楽勝でセーフだっただろう。
結局、久慈も鳥谷も東京ドームの狭い右中間とよく跳ね返るフェンスは計算外だったか。
それでも無死二塁三塁で金本だったらどうなっていただろうと想像してしまう。
我々はどうしても結果論しか見えず、その結果論から派生される想像(妄想?)で遊ぶ。
しかしこの遊びに興じはじめるとロクな試合ではないという証左でもあるのだ。

 結果としては0-0のドローで試合終了。
何と長いTG戦の歴史の中でもゼロゼロは69年ぶりなのだそうだ。
これはまた、我ながら珍しい試合にぶち当たってしまったわけだが、
観ている間はとてもそんな悠長なことを思う状態ではなかった。
何せ絶好のチャンスを逸した直後の七回裏、一死満塁の大ピンチを迎える。
もうメッセンジャーに念を送りまくり、小笠原には邪念を飛ばしまくった。
「低く攻めて、最後は高めで凡フライを取れ」などと、冷静には観ていられない。
ひたすら念を送る。血圧はおそらく160を超えていたのではないか。
更に絶体絶命のピンチだったのが九回裏。今度は無死満塁でマウンドに榎田一樹。
なにせ三塁走者を返した時点で試合が終わる。下手をすれば10秒で終わる。
気持ち良く打たれて終了よりも、サヨナラ押出しや暴投の絵が浮かんでしまう。
極端な前進守備には何やら悲壮感も漂い、それに被せてくる巨人ファンの大合唱。
その強烈なストレスに念を飛ばす体力も尽き、もはや祈るのみだった。
とにかくサヨナラの瞬間に歓喜の橙タオルが回される光景だけは避けたい。
正直にいえばメガホンをバックにしまい、腰を浮かせて撤収の準備は万全だったのだ。

 しかし「優勝を味わってみたい」と移籍したベイスターズ不動の四番だった村田修一。
よもや送りバントを命じられるなどとは思っていなかっただろうし、
8番という打順に甘んじていたガッツ小笠原には満塁で代打を送られてしまう。
何故YGのユニフォームというのは輝いていた男たちの輝きを消してしまうのだろう。
私にいわせればこういう戦術は外道でしかない。外道には無得点こそが相応しい。
それにしても自ら招いたピンチだったとはいえ、榎田も本当によく凌いだ。
ゲームセットの瞬間に4万4千人分の徒労感がドッと押し寄せてくる。
毎度、こんなハラハラ・ドキドキの血圧が昇天しそうな試合では身が持たないが、
こういう緊張感こそが野球の醍醐味だとも思ってしまう。本当に困ったものだ。



◎4月30日(月)|巨人6回戦(東京ドーム)14:00開始/44799人/3時間32分
先発:メッセンジャー×澤村|スコア:0-0
※Tigers DATA Lab.


author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 00:29
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能見、一人相撲 【4.28東京ドーム】

 私はHPの『日めくり』に以下のようなこと綴った。

「とにかく昨年の開幕日をめぐるナベツネ、高鼻の世情を顧みぬ尊大な言動。
ドラフトで外した菅野のあからさまな囲い込み。
日本シリーズに冷や水を吹っかけた「清武の乱」。
札ビラで横っ面を引っ叩いたような大型補強。
開幕前の吉伸や慎之介、野間口たちへの裏契約金暴露騒動。
とにかく傲慢で強引なやり口で、すっかり世間を白けさせていた読売巨人軍。
こんなチームに天誅を食らわす正義の虎を見届けに出掛けたつもりだが、
結果は完敗。あろうことかうちのエースが自滅した。
オレンジタオルを嬉々としながら振り回す場面を何度も見せられる。
自分の周囲だけが不快指数MAXになったような東京ドームだった。」

 去年の開幕戦から一年間。読売巨人は箇条書きで書けるほどのことをやらかしてきた。
まぁ大型補強、裏金などは多かれ少なかれ阪神球団もやってきたことなのだろうが、
今回はこういうことが露わにされていく過程がまったく不細工だった。
とくに「清武の乱」は日本シリーズの直前に勃発し、しばしスポーツ紙の話題を独占した。
楽天の嶋捕手が「見せましょう、野球の底力を」と感動的なスピーチで開幕したプロ野球。その集大成たる日本シリーズをスキャンダルで汚した罪を絶対に許すことは出来ない。
(そこで日本シリーズを二面に追いやったマスコミも程度が知れるのだが・・・)
私はもともと自他ともに認める極端な巨人嫌いではあるのだが、
とにかく今年だけはこんなチームに絶対優勝させてはならないと思うのだ。以上。

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 さて試合は能見と杉内の投げ合い。
杉内俊哉は巨人の大型補強の目玉だ。
2003年の日本シリーズでMVPを獲られて以来の阪神タイガースの天敵。
それも含めてソフトバンク時代の杉内との対戦成績は1勝7敗。
昨年も福岡と甲子園で見事に捻られている。(Tigers DATA Lab.)
交流戦ならば年に2試合の脅威で済むが、巨人に移籍されたとなるとそうはいかない。
前回の甲子園ではスミ1を守ってなんとか辛勝したが、あの時の巨人打線とは違う。
しかし「打倒巨人」の思いにカッカしていた私。
杉内登板でいきなり怒りのテンションは弱まってしまう。
天敵が相手だからではない。なにせ杉内俊哉というスターを観るのは初めてのことで、
テレビでしか見たことがなかった彼のマウンドを生で見られる興味が先に立ってしまう。
日本球界を代表する左腕がたまたま巨人のユニフォームを着ているだけに過ぎず、
実際、マウンドの杉内の佇まいからは一切の巨人臭が漂ってこないのだ。
だからどうしても杉内主観で試合を観てしまう。
正直これにはかなり機先を制されてしまった。
一方、能見もいわずと知れた巨人キラーだ。
今夜は息詰まる投手戦の予感を抱きながら東京ドームに乗り込んだ次第。

 その「息詰まる投手戦」の予感は初回から瓦解する。
一回表。先頭安打で出たマートンを金本のタイムリーで還し、あっさりと先制してしまう。
湿っていた打線が、五番・金本起用で早くも功を奏した形となったわけだが、
この先制点で「今夜は荒れるのか?」という予感が脳内で上書きされてしまい、
残念ながらこちらの予感の方は嫌な方向に的中してしまうことになる。

 能見の立ち上がりはスタンドから観ていても良くないのがわかった。
ボールのキレよりも、身体のキレがまったく感じられない。
今回のタイトルを「能見、一人相撲」としたが、その一人相撲は初回裏に集約された。
先頭の長野にいきなりツーベースを浴びると、3番坂本にもレフト前に運ばれる。
5番の村田のところでワイルドピッチ。ここで早くも同点に追いつかれ、
吉伸のPゴロの打球処理を焦って一塁にとんでもない悪送球で二人を返してしまう。
いきなりの3失点だがタイムリーはゼロ。すべてが能見の失策についた。
それにしてもブラゼルへのトスがとんでもない悪送球になった瞬間、
私は先日のマートンの後逸と同じポーズで天を仰いでしまったではないか。
打たれての失点は諦めがつくが、こういうのはアホみたいに呆然とするしかない。
続くボウカーには粘られてフォアボール。
巨人打線も今までさんざんと能見を研究してきたのだろうが、
今日は狙い球を絞るのではなく、低めの変化球は手を出すなとの指示が徹底されていたようだ。
何故に「一人相撲」だったのかといえば、この回の三つのアウトはすべて三振。
野手の手を煩わしたのはアウトカウントを取ることではなく、暴投や悪初球の処理だった。

 そこから杉内は立ち直ったというよりも、粘りながら徐々に修整してきた感じ。
とくにランナーを出してからは丁寧にコースをついて的を絞らせない。
結果として2-7の惨敗だったが、安打数は巨人の10本に対してタイガースは9本。
能見は間違いなくセ・リーグを代表する左腕だと思うのだが、
リーグを代表する左腕と球界を代表する左腕との違いはこういうことなのかもしれない。
最も杉内との対決を云々する以前の問題で、能見の「一人相撲東京ドーム場所」という試合だったのだが・・・。



◎4月28日(土)|巨人4回戦(東京ドーム)18:00開始/44427人/3時間08分
先発:能見×杉内|スコア:2-7|勝:杉内/負:能見
※Tigers DATA Lab



author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 23:59
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流れ断ち切れず 【4.21横浜スタジアム】

 甲子園の中継を観ていると空席があちこちに点在している。
今日の浜スタは土曜日にも関わらず、内野のスタンドに空席が目立つ。
野球人気の低迷は、地上波放送の激減と低視聴率が根拠のようにいわれ、
その反証で観客動員の好稼働があげられていたが、それもどうも怪しくなってきた。
相手側の外野応援席まで虎ファンが浸食する現象は単なる阪神バブルだったが、
少々天気の怪しい週末だとしても2万人そこそこの動員はやはり寂しい。
それでも昨夜のような試合をやっていれば仕方ないことか。まず当日券が伸びない。

和田豊 大阪でのDeNAベイスターズとの開幕カードは1勝1敗1分という結果だったが、実は3タテ食らう目もあり、今年のベイはやるかもしれないなどとも思っていた。
ところが対戦相手が一巡した段階で、タイガースは首位戦線に留まり、ベイは前田健太にノーヒットノーランを記録されるなど大きく躓いてしまう。
野球は始まってみないと分からないという典型だろうが、ここまでのタイガースは強い勝ち方をした試合が随分と少ないなという印象もある。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という野村語録があるが、どうもタイガースはそんな不思議な勝ちを拾っていた気がする。

 昨日の勝利で中畑ベイスターズはようやく本拠地で片目が開いたらしい。
タイガースは残塁12。相手がお膳立てをしてくれているにも関わらず、あと一本が出ず、ブラゼルの走塁ミスもあって非常に不細工な敗戦を喫した。
今日は試合前にセカンド付近でベースランニングを反復するブラゼルの姿があり、
外国人助っ人とはいえ最低限のことはやるものだと、まずはひと安心。
そして、ブラゼルのその反復練習の成果がいきなり出る。
二回の表は金本のライト前ヒットではサードまで駆け込み、
三回はマートンの2ベースで一塁から一気に迫力満点の本塁生還。
昨日の失敗があったからこその先取点。この「流れ」は非常にいい。
普通ならばチームは乗っていく。

 「負けに不思議の負けなし」はその通りだろう。
結果的に今日も11残塁。敗戦の理由は不思議でもなんでもないのだが、
昨日、今日と「流れ」は絶対に来ているのに点が入らない。
ベイは二度の本塁タッチアウトにゲッツーを焦ってセカンド悪送球。
連日、勝利へのお膳立てをしてもらっているのに、流れが来ないのは不思議といえば不思議だった。

 それにしてもマートン。
打球がグラブをすり抜けてボールがフェンスまで転々としたとき、
「あっちゃー」とスタンドで思わずのけぞってしまった。
そもそも自らのタイムリーでブラゼルの大激走という場面を演出したばかりだ。
普通、この直後にああいうプレーは出ないものなのだが。
こういう不思議が邪鬼の如く顔を出すあたりは、まだまだ弱いということなのだろう。
ま、昨年の浜スタ第一戦のコバヒロによる「四球・四球・死球・暴投・痛打」よりマシか。
そういう「去年よりマシ」と思う心が邪鬼を呼び込むことになるのだが。



◎4月21日(土)|DeNA5回戦(横浜)14:00開始/21506人/3時間22分
先発:スタンリッジ×小杉|スコア:3-4|勝:小杉/S:山口/負:スタンリッジ
※Tigers DATA Lab


author:ZAto, category:阪神タイガース・野球, 14:29
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