- 追悼 山本小鉄
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2010.08.30 Monday
もう何十年も昔の話。
私はG1クライマックス国技館大会のチケットを取るため、
六本木の新日本プロレスの事務所前に徹夜で並んだことがある。
そのとき、車の音とともにクラクションが鳴り、
運転席から山本小鉄が「ありがとう!」と声を掛けて通り過ぎていった。
「おお、あれが若手時代の前田日明をビビらせた小鉄さんの車の音か!」
と、大いに感激したものだった。
「人間爆弾」「鬼軍曹」というのが山本小鉄の異名。
力道山最後の弟子としても有名だが、星野勘太郎とのヤマハブラザースの全盛時代はちょうど私のプロレス「穴」の時代にあたるため、私にとって山本小鉄といえば、テレビ中継の解説者であり、審判部長であり、新日道場の鬼コーチというイメージだった。

「他のスポーツ選手はヘトヘトになるまで練習するというが、プロレスラーはヘトヘトになってから本当の練習が始まる」
「ヒンズースクワットを何千回もやると、床に溜まった汗の上を紙の船が泳いでいく」
そういう熾烈なプロレス道場での逸話を聞くたび、我々プロレス好きは幻想を大いに掻き立てられ、いつしか道場への神話が築き上げられていくことになる。
藤波辰爾、藤原喜明、木戸修、佐山聡、前田日明、長州力、高田延彦、武藤敬司、橋本真也、蝶野正洋、船木誠勝、鈴木みのる。
四十度を超える暑さの中で、黙々とプッシュアップをこなし、スパーリングに悲鳴を上げる若者たち。
その神話の頂点に君臨していたのが山本小鉄だった。
新日本の道場の風景といえばアントニオ猪木の写真。「精神」と書かれた五項目からなる道場訓の張り紙。そして木刀や竹刀を持った山本小鉄の姿だ。
前述したように前田日明は、山本小鉄の愛車が道場の前に停車しただけで震え上がったという。
プロレスファンは常に世間の八百長論議に晒されていた。
はっきりと理論武装し始めたのは村松友視が登場してからだと思うが、
それまで世間の冷たい視線に立ち向かうのは道場論が唯一の武器だったといってもいい。
そして八百長論議とは別にプロレスラー最強説を信じて疑わなかった。
その根拠となったのも世間の価値観などせせら笑うような道場の苛烈さにあった。
山本小鉄はことあるごとに道場の神話を守り、プロレスの神話を守り続けてきた。
ファンの暴動を治めるため、本気で切腹寸前までいった信念の男。
私はそんな山本小鉄が築き上げた世界観に十代から三十路過ぎまで、どっぷりと浸らせて貰った。
今年のG1クライマックスの出場選手には知らない名前が半分あった。
私がプロレスから離れてしまったのは、プロレスを取り巻く様々な神話が音を立てて崩れてしまったからに他ならない。
道場はいつしかジムと呼ばれるようになり、「精神一到何事か成らざらん」の道場訓とともに物語の幕も降ろしてしまったようだ。
山本小鉄、享年69歳。
ひとつの時代と、神話が、完全に終った。 合掌。
- 19歳ルーキー、初勝利! 【8.28明治神宮球場】
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2010.08.29 Sunday
昨日の試合を「捨てゲーム」だったと勝手に定義させてもらった以上、
今夜は是が非でも獲らなければいけない試合となる。
まして、前回登板で悔し涙を流させた19歳ルーキーのマウンドだ。
今度こそ打撃陣は落とし前をつけなければならない。
私もゲンを担いだ。昨日は銀座線の外苑前駅から球場まで歩いたのを、
今日は半蔵門線の青山一丁目駅から絵画館に向う並木道から球場入りした。
球場に到着して目に入ったのが「内外野の指定、自由ともすべて完売」の文字。
夏休み最後の土曜日。当日券売場のブースが閉まっているのは気持ちがいい。
ちょっと前までは一塁内野はもちろん、ライトスタンドの一角まで黄色く埋めつくされたものだが、やはり東京音頭でスタンドの右半分にビニール傘が咲くのは壮観だ。
気の遠くなるような借金19を完済した強さに、燕ファンも呼応しているのだろう。
聞けば神宮は今季最高の観客動員になったという。
そういうことで煽られる決戦ムードはこちらも大歓迎だ。
結果はスコア9−2の快勝。
昨日は館山に完全に牛耳られたことを思うと、今日は小刻みに点を重ね、
最終回にビッグイニングのダメ押しで磐石の試合運びだったといえる。
中でも4三振と完全に牛耳られていたマートンが、本塁打を含む5打数4安打5出塁の大活躍で、外野守備でもダイビングキャッチを成功させるなど溌剌した姿を見せた。
頼れるリードオフマンが活躍すれば、まず今年のタイガースは負けることはない。
それにしても昨日あれだけ遠かった二塁ベースが、牽制悪送球によって試合開始わずか数分で踏める。野球とはこんなものなのだろう。
新井も鳥谷もよく打った。今夜はよく打った選手が守備でも好プレーを見せる。
超満員のスタンドにあって、会心のゲームだったといえるだろう。
さて、プロ初勝利をあげたルーキーの秋山拓巳について。
菊池や今村などの高卒スターたちよりも、いち早くウィニングボールを手にしたのがドラ4のルーキーだったというのは痛快ではある。
まず身体がでかい。ルーキー独特の華奢なイメージがまったくない。
体格にも恵まれているが、投球フォームを見ると筋肉の柔らかさが目につく。
スピードはMAX144キロほどで、威圧感という部分では今ひとつだが、
さらに足腰を鍛え、重心移動のコツを覚えれば、ストレートももっと速くなる。
そうなれば飯原のバットを空転させたフォークも生きてくるだろう。
前回初登板となった巨人戦でも再三のピンチに見舞われながらも、
5イニングを乗り切って一応、勝利投手の権利を得るところまできている。
今夜の試合でも2イニング連続で満塁のピンチがあり、下手をすればビッグイニングを作られる場面でもマウンドで萎縮するそぶりは見せなかった。
「自分で作ったピンチですので、どうしても抑えたかったです」
ハートが強いことは秋山の大きな財産なのではないかと思う。
「1年目っていうのことに言い訳せずに、チームの勝利に貢献したい」
超満員の観衆の前でこれだけの台詞がいえるのだから大したものだ。
しばらくは登板するたび、テレビで見てきた強打者たちとの対戦を楽しみにしていればいいのかも知れないが、そのうち研究もされ、狙い球も絞られるだろうし、えげつないプロの洗礼も浴びるだろう。
最短距離で初勝利を手にした以上、この先にまわり道が必ず待っているはずだ。
しかしチヤホヤされて浮かれた気分になることなく、息の長い選手に育ってほしい。
プロ初勝利という、彼の野球人生に一度しかない記念日に立ち会えたことを本当に嬉しく思う。
◎8月28日(土)|ヤクルト19回戦(神宮)18:00開始/33182人/3時間18分
先発:秋山×中澤|スコア:9-2|勝:秋山/負:中澤
※Tigers DATA lab.
- 二塁ベース踏めず 【8.27明治神宮球場】
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2010.08.28 Saturday
大混戦のペナントレースは傍から見れば相当に面白いだろう。
首位の巨人から3位中日までゲーム差2.5。その中日を4位のヤクルトが3.5差で追う。
パ・リーグも4.5ゲーム差の中に1位から4位までがひしめく。
しかし連日熾烈な戦いが展開されているようでいて、実はどのチームも決め手にかけている。
連勝もすれば連敗もする。だから引き離せないし、置いていかれることもない。
タイガースはこのロード中に東京ドームとナゴヤドームで3タテの惨敗を食らった。
首位攻防といわれる中で、これは致命傷だといってもいい。
しかし順位は変わらないどころか、下手すれば一夜で首位に返り咲く可能性すらある。
こんな状態がいつまでも続くわけがないと思いながらも、8月に入ってから9勝13敗。
しかしファンであれば現在のタイガースのチーム状況はよくわかる。
傍から数字と結果だけ追いかけている人とは違って、そう遠くない行く末は見えている。
「やっぱり、こんな状態がいつまでも続くわけがない」と。
そんな中ではっきりとベクトルが上に向かっているのがヤクルトだ。
監督の交代劇を招くなどどん底を喘いでいたチームが19の借金を返済。
いまや貯金生活に入ってしまった。この二枚腰は率直にすごい。
巨人と中日に離されていないのはヤクルトの存在が大きく、要所で叩いてくれているのだ。
タイガースはそのヤクルトからなんとか勝ちを拾っていることで救われている。
そうなると、ひとつの結論としてヤクルトには絶対に負けてはならないということ。
しかしカープとの戦いを観て、神宮初戦の相手が館山で決まりとなった段階で、この試合はまず勝てないなという思いが強かった。
ベボい投手から22点も取れるなら、館山、石川クラスでも5点は楽勝とは絶対にならない。
まして館山には神宮ではよくやられているイメージがある。
以前はさほど脅威とは思わなかったが、去年の秋にCS進出への望みが事実上絶たれたのは館山に完封を喫した試合だった。
かつての松坂世代の泡沫的存在も、今やリーグを代表する先発投手になったのではないか。
そんな投手が出てくれば今のお祭りだけの打撃陣では絶対に勝てない。
まして平気で5、6点は覚悟しなければならないのが我らが投手陣なのだ。。
個人的な話だが、月末金曜には会議があり、長引けば球場に行かれるかわからないので、一応、一番安い外野自由席を買って臨んだ神宮初戦。
そんな具合にこちらも気合を入れて球場に駆けつけたわけでもなかった。
どのピッチャーが先発しても館山相手に勝てるというイメージが希薄すぎるのだ。
このあたりは気が向けば野球が見られるというお気軽な環境にあって、
自分としてはいかに戦力を消耗させないで終われるかという捨てゲームのつもりでいた。
結果的にはベンチもそのように考えていたフシがある。
もちろん試合の流れの中で「絶対に負けられない」という思いが湧くことはあるにしても、
館山で落としても、二戦、三戦目は絶対に獲って勝ち越しを狙うと考えていたのだろう。
前日の試合ではビハインドの終盤に西村、渡辺を投入して打線の爆発を待ったベンチも、
今夜は一軍に上げたばかりの桟原を試すという采配で、中継ぎを温存した形となった。
とまあ、それはそれで仕方のない部分もあると思うが、やはり夏休みにこの日の試合を楽しみに待っていた家族連れや少年ファンには面目のなさ過ぎるゲームではある。
捨てゲームであっても、セカンドベースを踏めない完封負けでは話にならない。
意味のない数字とはいえスコア0−6でも安打数6は同じ。
結局、拙攻の羅列を見せられたという印象しかない試合だった。
メッセンジャーもここ数試合と比べればよく投げたものの、
四回裏二死までパーフェクトピッチングだったものが、四球を出した途端にホワイトセルに一発を浴びたのでは「まさか大それたことを考えていたんじゃあるまいな」と野次を飛ばしたくなる。
飯原のツーランも然りで、メッセンジャーは六回裏までにたった二人しか出さなかったランナーをことごとくホームランで帰してしまった。
6イニング3安打は好投だといえなくもないが、セットポジションからの制球力に疑問符ががつくようではまったく明るい材料にはならない。
これは暗黒時代によく味わったのだが、あまりに情けない試合には悔しさが湧いてこない。
むしろ試合よりも悔しさが湧かないことのほうがよほど悔しかったりもする。
ことさらに悔しい試合を見たいとは思っていないが、
延長戦で負けた巨人と中日のファンは随分と悔しい思いをしたのだろうなと思うと、
ただでさえ希薄だった悔しさがまた半減する。
本当はこんなことではファンとしてはいけないのだろうが。
第二戦の先発予想は秋山と中澤のルーキー対決。
前回の東京ドームで高校卒19歳に悔し涙を流させた落とし前を、打撃陣はしっかりととらなければならない。
そうでなければ、この試合を捨てた意味がまったくなくなってしまう。
◎8月27日(金)|ヤクルト18回戦(神宮)18:00開始/28890人/2時間27分先発:メッセンジャー×館山|スコア:0-6|勝:館山/負:メッセンジャー※Tigers DATA lab.
- 3タテ食らいて候 【8.22東京ドーム】
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2010.08.23 Monday
場所が東京ドームだけに最低のタイトルだ。
しかし現実なのだから仕方がない。
とにかく明日の出勤が今から憂鬱で仕方がない。
今の職場のほぼ職員全員が年上で、ほぼ全員が巨人ファンだ。
巨人が勝つと報知新聞の回し読みが始まる。
二十代の頃なら転職の理由となるに十分だ。
「次のジャイアンツの相手は阪神か」
彼らは日常的に愛称と企業名を呼び分ける。
これがまたイラっとくる。
前世紀までの野球中継興隆の悪しき名残だ。
対抗して「讀賣」と呼ぼうかと思うが、関東者にそんな習慣はない。
耳に飛び込んでくる「ジャイアンツが」「ジャイアンツが」「ジャイアンツが」
十代の頃なら暴動の理由となるに十分だろう。
赤星の引退発表の翌日のこと、私がしみじみと、
「やはり赤星が塁に出ると相手は嫌だったんでしょうね」
「そりゃそうさね、ウチの鈴木が出ると相手が緊張するのがわかる」
鈴木?なぜ赤星の格が疑われるようなことを平気で口に出来るのか。
思わず怒りが口に出そうになったのだが、グッとこらえた。
私はもうすぐ五十路を迎えるのだから。
このアホ虎、バカ虎。
勝てただろ、今日の試合は。
それが完封負けとはなんぞや。
結局、初回の坂本の先頭アーチで決まっていた試合じゃねぇか。
本当なら「小笠原のバントゲッツーの呪い」として笑える試合だったはずなのに。
登録して即二軍行きの投手を再登録してまた二軍に落とし、
春に十九になった高卒ドラ4ルーキーに悔し涙を流させ、
馬脚をあらわした夏バテ外人を中4日で登板させる。
直前のカードでベイスターズから3日合計で33点奪ったって?
巨人はドラゴンズから3日間で2点しか取れなかったって?
結局、ベイファンをさらに傷つけ、
ドラファンから高笑いされるだけの話じゃねぇの。
先週末に職場のおっちゃんがいっていた。
「こりゃジャイアンツは阪神に三つ持ってかれるかも知れねぇな」と。
「いえいえ、誰も先発いませんから。三つ持ってかれるのはウチですよ」
その通りになってどうすんだ、アホ虎。
甲子園で巨人戦の残り五つ、全部勝て。
◎8月22日(日)|巨人19回戦(東京ドーム)14:00開始/46309人/2時間56分
先発:メッセンジャー×朝井|スコア:0-3|勝:朝井/負:メッセンジャー
- 防御率4.29 【8.20東京ドーム】
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2010.08.22 Sunday
先々週に東京ドームでやったときから、今夜からの3連戦は注目されていた。
ここで真の首位攻防、天王山が来るといった論調が多かったように思うし、
私自身も20日からの東京ドームは「勝負」となると踏んでいた。
しかしロードに出てからのタイガースは五連敗を喫するなど一気にトーンダウン。
とくに名古屋で3タテを食らった試合では、このチームが優勝戦線にいること自体がおこがましいのではないかと思ってしまうほどの完敗。
しかし、勝てないタイガースに伴走するように巨人も敗戦を重ねる。
その後、タイガースはスワローズに勝ち越した勢いによってベイスターズを3タテ。
五連敗を一応完済する五連勝でドームに乗り込んだのはいいが、
巨人も名古屋で三つ落とし、結果としてタイガースは3ゲーム差をつけての首位。
何と巨人はドラゴンズに抜かれて3位で東京ドームに戻ってきた。
期待された20日からの“天王山”は、その前提から崩れてしまい、
蓋を開けてみれば両チームとも満足なローテーションを組めないまま三連戦に臨む。
たかだか二週間前に盛り上がっていた高揚感も、どこか弛んでしまったという気がする。
そもそも五連勝で迎える巨人戦ともなれば、もっと意気揚々とした気分があってもいい。
目標を失ったベイスターズ相手に花火連発で大勝しても、どこか弾けてこないのだ。
それはひとえに深刻な先発不足という状態が重石となっているからに違いなく、一度は先発失格の烙印が押された小嶋を急遽一軍に登録し、ドラフト4位の高校卒ルーキー秋山を明日は先発させ、三戦目は江草か中4日でメッセンジャーかというのが新聞の先発予想。
驚くなかれ、先発投手陣が不調なのではなく、いないのだ。
正確にはローテーションが組めないのではなく、埋まらないのだという状態。
だから五連勝中のチームが四連敗中の相手に大敗したところで驚くことでもない。
相手には中継の柱はいるが、我がタイガースにはそれもないのだから。
一か八かで投入した小嶋が、やっぱり働かなかったのだという結果でしかなかった。
今年はチームカラーが一気に変貌したといわれているし、私もそう思っている。
スタメンで規定打席を満たしながら3割を打つ打者がなんと五人。
前半戦は怪我で不調だった鳥谷も最終的には3割に届くのかもしれない。
チーム打率が.284など、ここ数年のタイガースでは夢の数字であるに違いない。
先日の浜スタのように8番打者の林威助から2発もホームランが飛び出すとなると、
本当にどこの打順から始まっても点が獲れるのではないかと思ってしまうほど。
しかし打撃力が一気にアップしたのと同等のレベルで投手力がダウンした。
常にシーズン防御率3点台前半をキープし、一時は投手王国とまで自称していたのはついこの間のことだった。
その意味では「打てるチーム」に変貌したと同時に「抑えられないチーム」にも変貌した。
チーム打率.284が夢の数字ならば、チーム防御率4.29は地獄の数字だ。
それにしても「天王山」というフレーズまで飛び出していた東京ドーム決戦で、
先発陣の頭数が揃わない事態というのは異常であるといえるだろう。
幸い試合はプレーボールから観ることが出来た。
結果的に大敗を食らおうが、平日の試合でプレーボールから観られるというのはありがたい。
さて、先発は小嶋。四年前の希望枠選手だ。
厳しいなと思うのは、ルーキーイヤーの2007年4月8日東京ドームで登板したときと同じ感覚で、ベンチもファンも私も今回の小嶋先発を捉えていること。
なにせ井川慶の背番号「29」を与えられた男だ。期待されていたのだ。
しかし残念ながら六回2失点で抑えた三年前の巨人戦初登板のときよりも悪かった。
それなりの経験値は積んできたのかもしれないが、自信を積むような経験値ではなかったのか、遠くスタンドの三階席で観ていても何とも所在無げに見える。
たまらず「自信持て!もっと腕振れ!」と思わず声を飛ばしてしまう。
結局、我々がマウンドに求めるものは「いいボール」を投げる姿ではなく、
「いい度胸」だと感じる頼もしさなのかもしれない。
まず初回に小笠原の打球がイレギュラー気味に跳ねて一死一二塁となった場面。
打ち取ったつもりで「おし、ゲッツー戴き!」が一転してピンチ。
こういう場面で瞬時に切り替えが出来る、あるいはアンラッキーを気にしないというタフさがこの投手には決定的に欠けているのではないか。
すぐさま1点を返して追撃ムードが整った次の回での先頭打者フォアボールも然り。
この後に完全にモーションを盗まれて走られた段階で「ダメだ」と天を仰いでしまった。
もう誰がどう見ても雰囲気に飲まれているのがわかったからだ。
結局、小嶋は2回持たずに鶴と交替。
鶴の待機は想定内だったのだろうが、ならば最初から鶴を投げさせればよかったのだ。
精神力の弱さは、その選手の個性もあって一朝一夕に克服出来るものではないのだろう。
小嶋が今後も生き残っていくならば、ウイニングボールの獲得しかないのではないか。
そこで度胸をつけるしかない。能見篤史というよいお手本がいるのだから。
◎8月20日(金)|巨人17回戦(東京ドーム)18:00開始/45951人/3時間37分
先発:小嶋×ゴンザレス|スコア:5-12|勝:ゴンザレス/負:小嶋
※Tigers DATA lab.
- 黒いダイナマイト 【8.18横浜スタジアム】
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2010.08.19 Thursday
ブラゼル2発、リン2発に鳥谷のホームランが出て試合は大勝。
ところが11得点を奪いながらもタイムリーはゼロ。
今季のタイガースの勝ちっぷりを象徴する一戦となったといいたいのだが、
浜スタで圧勝するときは大概こんな試合だという気がする。
それでも個人的にここでのナイトゲームは本当に久しぶりで、いつもならばスタンドに照りつける西日にジリジリしているイメージが強いのだが、三角形のカクテル光線が人工芝に煌々と反射する中での観戦は新鮮な気分だった。
新鮮といえば、タイガースの黒ユニ姿は新鮮を通り越して異形そのもの。
内野守備につくと三名の塁審と色合いが混ざり、ダイヤモンドが窮屈に見えてしまう。
ただ、その異形感ゆえか、この黒ユニはもともと我々ファンの間でも知名度は高く、
藤村富美男、土井垣武、別当薫の名前とともにダイナマイト打線の象徴として、
交流戦のたびに「試しに着てみる?」などと冗談半分の話題にはなっていた。
ただ昭和23年から24年にかけて使用されていたとなると、懐かしいという感覚もなく、
当然テレビ画像もないので、我々にとってはあくまでも“伝説のユニフォーム”。
そして、いざその伝説の黒ユニを目の当たりにすると、その違和感が本当に楽しかった。
そもそも異形の姿というものにはそれだけで「祭り」を演出する力がある。
着こなしとしてはストッキングを上げるオールドスタイルが正解なのだろう。
マートン、平野、金本、林たちは見るからにヘン。
昨日の長野から一転スタイルを変更したブラゼルはよく似合っていた。
一方のベイスターズは本拠地を移してからの横浜大洋ホエールズのユニフォーム。
こちらは、ただただ懐かしかった。
思い出すままに、遠藤、野村、斉藤明、山下、田代、高木豊、屋鋪。長崎もいた。
私は大学時代に浜スタのスタンドで警備員のアルバイトをしていたことがある。
ダーンダダダダン、ダーンダダダダンというねぶた調の太鼓のリズムにすっかり耳タコが出来て、はやく交替が来ねぇかなぁなどと思いながら、グランドに背を向けてスタンドのファンと対面する形で後ろ手にして突っ立っていたのだ。
今夜の浜スタのライトスタンドではその当時の応援が再現されていた。
しかもスレッジ、ハーパーなどの外国人選手にはポンセの応援歌。
ダーンダダダダンの太鼓をバックに黒ユニのタイガースの面々が守備に着く。
こんな雰囲気だと、特別興行でひと息入れているような極端な気分になってしまう。
本当は四回裏の一死一塁、スレッジのセンターに抜ける当たりを鳥谷が抜群のポジョニングで併殺打としたことなど、勝負のアヤと思われるシーンも印象深かったりもするのだが、
「祭り」なのだから3年ぶりに観る林のホームランに拍手して、
電光掲示板を直撃したブラゼルの一発に度肝を抜かれていればいいのだと思うことにした。
中日を入れた三すくみの首位戦線の渦中にあることなど頭から抜け落ちてしまい、
名古屋で巨人と中日が星を潰し合っていることなど、実にどうでもよくなったくらいに、
突如として目前に現れた黒い軍団のおかげで、試合経過よりも雰囲気を楽しんでしまった。
そんな浜スタのナイトゲームだった。
◎8月18日(水)|横浜14回戦(横浜)18:00開始/24142人/2時間50分
先発:久保×小杉|スコア:11-2|勝:久保/負:小杉
※Tigers DATA lab.
- 首位奪回 【8.4東京ドーム】
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2010.08.09 Monday
お山の天辺は二本足で立つのがやっという面積しかなく、
かろうじて周囲は見渡せるが、風が強くてバランスを崩すと足を踏み外してしまう。
それでいて断崖絶壁で、踏み外したら奈落の底かといえばそうでもなく、
稜線はなだらかで、ちょっと足を滑らせてもまた天辺に上がることが出来る。
残り試合がまだ50試合もある、8月初旬の僅差の首位なんてそんなものだろう。
今は天辺の風をまともに受けながら下界を眺めることより、体力(貯金)を蓄えていくことが肝要なのだと思う。
だから天辺に立ったからといって、遠征前の甲子園で藤川球児のイニング跨ぎなどやらなければよかったのだ。
まともに風を食らって、その風にまともに対応するべき時期ではない。
そんなことをやっているから体力は残っているつもりでも気力が消耗してしまうのだ。
これを書き始めているのが試合から4日後の8月8日の夜。
ナゴヤドームでなす術もなく3タテを食らった現実を横に置きながら、
4日前の首位を奪還した快勝について書かなければならない。
やはりペナントレースは生ものだけに鮮度がみるみる劣化してしまう。
どうしても遅筆になりがちな猛暑と衰えた体力をうらむばかりなのだが、
幸い、メモに下書きしているので、4日水曜日の観戦記録を残しておく。
さすがに「明日もこの調子で東野を打ち崩す」なんて文言は削除しなければならないが。
昨日の試合は2−6の敗戦。しかし巨人の8安打に対して11安打を放ち。
この試合では8−4と快勝し、再び11安打を放つも巨人が1本上回った。
私は今回の東京ドームには一抹の不安をもっていたのだが、
昨日の負け試合を観て、思ったほどには力の差はないと安堵もしていた。
防御率4点台の両チームが0.5ゲームで首位争いをしている背景には攻撃力がある。
こういうチームカラーが似ている者同士の対決では、
どの場面でヒットが出るかによって試合の局面が決まってしまう。
要はタイミングの問題ではないかとも思ってしまうのだ。
もちろんタイミングといっても、そのタイミングの作り方、プロセスにゲームの面白さがあり、
打つべき場面で打つ、抑える場面で抑えるというせめぎ合いに野球の魅力がある。
そこから技術と気持ちを見出すことが観戦者の楽しみであると信じているのだが、
私はこの試合の二回表の攻撃にそれを見ることが出たと思っている。
後々、リアルに思い出せるようにその回の詳細をドキュメント風に綴ってみる。
まず内海から先頭のブラゼルが詰まりながらもレフト前にヒット。
今日こそ先頭打者をホームに帰してくれと思ったのは私だけではなかったろう。
金本が歩き、城島倒れ、浅井のセカンドゴロでゲッツーを焦った脇谷が一塁悪送球。
昨日はあんなに苦労したのに点が入るときは簡単に入ってしまうのも野球なのか。
そして二死で浅井が一塁に残ったところで、突然メッセンジャーのバットが快音を発してレフトスタンドめがけて一直線。塁審の腕が回り、ホームランとなって大歓声に沸くスタンド。
スコアボードに3点目が点灯したところで、ラミレスが「違う違う」と腕でバツを作ってホームに駆け寄り、それを見た阿部慎之助がアンパイアにアピール。
今年から導入されたビデオ判定のため、審判団が本部席に集まってビデオを確認。個人的には開幕カードの京セラドームに続いて二回目のビデオ判定だ。
主審がマイクを持ち「手すりに当って跳ね返ったので二塁打に訂正します」と説明。
騒然とする場内。罵声を浴びせる阪神ファンの対面で振り回されるオレンジタオル。
正直、ボールの跳ね返り方がよすぎたので「もしや」という気がしないでもなかったが、昨日はことごとく運に見放されていたので、「今夜もHard luckかよ」との思いが駆け巡ってしまう。
しかし、主審のマイク説明が終るや否や、素振りを始めた鳥谷の姿。
二死二三塁。一本のヒットでホームラン取り消しをカバーできる。
コーチや内野陣がマウンドの内海に集まる中、鳥谷は静かに集中していたのではないか。
そして鳥谷はフルカウントから内角を捌いて一二塁間を見事に抜く。
フルカウントまで粘っていたおかげで自動スタートのメッセンジャーまでホームイン。
見事に一度消えてしまった東京ドームのスコアボードに「3」が再点灯した。
さらに鳥谷がセカンドまで到達していたので続く平野のライト前で生還。
何てことはない、メッセンジャーのホームランが取り消されたおかげでランナーが残り、
この回に4点目が入るという「Good luck!」となった。
以上、二回表の攻撃を長々と書いた。そう書く価値が十分にあると思っている。
正直、技術はよくわからないが、気持ちが十分に伝わってきたのが嬉しかったからだ。
こういう試合は絶対に落とせない。いや、まず落とさない。
メッセンジャーの一発も稀ならば、そのホームランが取り消されてしまったことも稀。
そして平野の会心の一撃がライトスタンドに飛び込んだことも珍しいことだった。
その意味で、昨日と転じてタイトルを「Good luck!」としてもよかった。
しかし、あえて「首位奪回」としたのは、現在ロード1勝4敗という現状にあって、
唯一のこの1勝が、そんな意味を持った勝利であることを記しておきたかったからだ。
この日の「首位奪回」が一瞬だけ仇花のように輝いたメモリアルになるのか、
ペナントリーグ制覇への単なる一里塚となるのかは今のところ神のみぞ知る。
いや、そんな遠い話ではなく、タイガースは20日に東京ドームに戻ってくる。
その三連戦が再び「首位攻防戦」と呼ばれていることを願いたい。
8月04日(水)|巨人15回戦(東京ドーム)18:00開始/44042人/3時間12分
先発:メッセンジャー×内海|スコア:8-4|勝:メッセンジャー/負:内海
※Tigers DATA lab.
- Hard luck! 【8.3東京ドーム】
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2010.08.07 Saturday
すごく運のない試合だったとは思う。
象徴的だったのは双方が放ったピッチャー強襲の当たり。
五回表一死二、三塁でマートンが放った弾丸ライナーは野間口のグラブに吸い込まれ、
三塁ランナーの鳥谷が帰塁出来ずにダブルプレー。
一方、その裏二死一、二塁で松本が打ったボールはスタンリッジのスパイクに当たり、
センター前に跳ねてタイムリーヒット。
似たようなシチュエーションが見事なまでに明暗を分けた東京ドームだった。
もちろん我々はテレビ中継の解説者の常套句でつい「流れ」を読もうとする。
そして、その「流れ」の中に運不運を見つけようとする。
「Hard luck!今夜は運がなかった」でこの試合をまとめることは簡単だ。
しかし不運にもそれなりの理由と伏線があり、偶然の中にも必然があるのではないか。
この試合でタイガースが放った安打は11。先頭打者が塁に出ること実に6イニング。
何度も得点圏にランナーを進めるものの、決める一本が出なかった。
これで勝てなかったことを「運が悪かった」と片付けてよいものかどうか。
巨人の先発はグライシンガー。スワローズ時代から天敵と呼ばれていた投手だ。
簡単にツーストライクと追い込まれ、多彩な決め球で仕留められる。
ならばと早いカウントから勝負に出ると、難しいボールに手を出して凡打の山を築く。
一度、足を絡めて崩した試合を観ているが、その試合で主役だった赤星はもういないし、
とにかく制球力があるので、一度主導権を取られたら終盤まで術中にはめられるイメージ。
しかしグライはタイガース戦8連勝中だというものの、手術をして実戦から遠ざかっていた。
この日の先発も殆どぶっつけ本番であり、去年までのイメージを一変させたタイガース打線に通用するものなのかどうか。
新聞がグライの復活登板を書き立てていたからではないが、
この試合の興味を猛虎打線が、どうグライを攻略するのかという一点に絞っていた。

そのグライが二回先頭で早々に打球を足に当てて降板する。
天敵がアクシデントで引っ込んだのだから、普通「この試合いただき」となる。
そもそもこの展開で「Hard luck!」というタイトルがつくこと自体がおかしいのだ。
しかし自らの調子を探るようなグライのマウンドを見ていると、中盤には間違いなく攻略できたのではないかと思うのだ。
むしろ巨人のほうに非常事態での集中力を与えてしまったのではないか。
野間口に開き直られて火事場のバカ力を発揮されたような状況となってしまい、阿部慎之助のスリーランで止めを刺されてジ・エンド。
今さら安藤の不甲斐なさを嘆いても仕方ないのだが、左の中継ぎがルーキーの藤原ひとりだけという現状がとにかく心許ない。
スタンリッジはよく試合を作っていた。今やマートンと肩を並べる「買い」の存在だ。
しかしビハインドゲームでは先発を引っ張れないので、試合を作っても生かすことが出来ない。
安藤よりも不甲斐ないのは実は江草、筒井なのではないか。
さて、今からちょうど一ヶ月前。
ゲーム差4で首位の巨人を追い東京に乗り込んできた時には、何ともいえない高揚感があった。
試合は0−4から一気に6点取って大逆転し、3失点して再逆転するという壮絶な勝利。
あれは間違いなく両者の勢いが交錯し、前半戦での分岐点となる試合だった。
今回は立場が逆転して、首位のタイガースを巨人が僅差で追うという状況。
前回と同じように甲子園で中日に勝ち越しての東京遠征になったが、
甲子園が胃の痛むような死闘だったのに対し、巨人は広島で圧勝して戻ってきた。
高校野球に甲子園を明け渡していきなり巨人と中日相手に6連戦というのもハードだが、
8月のタイガースの日程を見ると、
甲子園−東京D−ナゴD−広島−京セラ−長野−横浜−東京D−京セラ−神宮−甲子園。
落ち着けるのは横浜と東京の間だけで、試合のない月曜日は殆ど移動に費やされるという過密なスケジュール(何故、こんな時に長野で試合があるのだろう)
一方、巨人の日程。
広島−東京D−東京D−神宮−東京D−ナゴD−東京D−東京D−広島−金沢。
4カード連続の首都圏開催を含む東京ドームが5カード。
毎年のことながら非常に日程に恵まれている。
球団の営業はぜひ来年以降の日程に関西6連戦を入れる努力をするべきだ。
…今更いっても仕方のないことだが。
◎8月03日(火)|巨人14回戦(東京ドーム)18:00開始/44186人/3時間29分
先発:スタンリッジ×グライシンガー|スコア:2-6|勝:野間口/負:スタンリッジ
※Tigers DATA lab.
- HP 一時閉鎖のお報せ
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2010.08.01 Sunday
暑い日が続きますが、熱中症にはお気をつけください。
さて、拙HP「勃ち待ち」をマイナーチェンジのために一時閉鎖しております。
まずタイトルを変えます。
もう五十路にしていつまでも「勃ち待ち」ではいかがなものかというのもありますが、
このタイトルで検索するとエロサイトがズラリと並ぶ(苦笑)
また期待してクリックされた諸兄にも申し訳ない。
そうはいってもここまで作ってきたわけですから、
デザインは変わっても中身は殆ど変わりません。
新タイトルは「雑途往還」と名付けました。
今まで雑に生きてきて、「道」というより「途」を行ったり来たり。
HNとのゴロ合わせて無理やり作った造語です。
しょーもない個人ページなので、殊更に宣伝する気もゼロ。
「勃ち待ち」よりも検索に引っ掛からないだろうという利点もあるかな。
ということで、それほどお待たせすることもないと思いますので、
リニューアル後もよろしくお願いいたします。
ZAto










